ビットコインは停滞した1年──ボラティリティは上昇、流動性は低迷

ビットコインは停滞した1年──ボラティリティは上昇、流動性は低迷

ビットコイン価格のボラティリティは、デジタル通貨やデジタルゴールドとしてのビットコインのストーリーに疑問を投げかける要因となっている。

これほどボラティリティの高いものが安全な投資先になり得るのか? 会計手段や交換手段として信頼できるものになり得るのか?

ボラティリティ問題への関心の高さは、法定通貨に裏付けられたデジタル通貨「ステーブルコイン」を生み出そうとする多くの試みによく表れている。

おそらくビットコイン自体は徐々に安定していくだろう。仮想通貨資産への投資が増加する中、その流動性は改善している。そうなっていくと考えている人は、この記事に失望し、苛立つかもしれない。

2019年、市場とネットワーク・データは違うストーリーを語っている。すなわち、ボラティリティは高まり、流動性は停滞したままだ。

ビット・アスク・スプレッドは縮小していない

流動性の信頼できる指標の1つは、ビッド・アスク・スプレッド。買い手が望む価格と売り手が望む価格の差だ。小さなビッド・アスク・スプレッドは流動性が高い市場のサインであり、価格を変動させずに比較的大量の取引が可能となる。

我々は、ビッド・アスク・スプレッドのデータが入手できた6つの取引所を調査した。データは、ビットコインのビッド・アスク・スプレッドは他の資産カテゴリよりも拡大し、2019年はほとんど緩和していないことを示した。

6つの取引所の半数では、月平均ビッド・アスク・スプレッドは1年前よりも拡大して11月を終えた。残り半数では縮小し、平均すると0.14%の拡大となった。ビッド・アスク・スプレッドが最も小さかった2つの取引所、ビットフィネックス(Bitfinex)とコインベース(Coinbase)でも、ビッド・アスク・スプレッドは拡大していた。

価格に対するパーセンテージで表す月平均スプレッドは、3月にコインベースで記録した0.045%から、7月のイットビット(itBit)の0.304%までに及ぶ。比較すると、バンガード(Vanguard)のETF(上場投資信託)商品の現在のビッド・アスク・スプレッドは0.01%から0.09%の範囲だ。

ビットコインのボラティリティと、6つの取引所でのビッド・アスク・スプレッドの推移(2018年6月1日〜2019年12月1日)、出典:bitcoinity

ボラティリティの高まりは流動性プロバイダーを引きつけていない

上のグラフが示すように、ビッド・アスク・スプレッドはボラティリティが高い時期に広がる傾向がある。マーケットメーカーは投資家の恐怖や欲から利益を得ようとするので、これは普通のことだ。

2018年下半期と比べると、2019年はビットコインにとって変動の大きな1年だった。日次リターンの30日間ボラティリティは、過去12カ月間に65日、4%を上回った。同期間、1%を下回ったのはわずか6日だった(データはdata.bitcoinity.orgから入手した)。

流動性プロバイダーは押し寄せていない。ビットコインに対するマーケットメーカーの熱意を計るために、ネットワーク・データに目を向けてみる。取引所ウォレットの残高総額だ(ビットコインの総供給量に対するパーセンテージで表す)。

取引所のビットコイン・フローを測定したこの指標は、ボラティリティに対して、ある程度の反応を示す。2019年の現時点までで最も高い値は5月下旬と6月上旬で、どちらもボラティリティが上昇し、ピークとなった時期だ。

しかし、こうしたことは穏やかな状況では目立つものだ。取引所のビットコイン・ウォレットの残高は、2018年に減少してから大きく変化しておらず、2017年11月中旬に初めて記録した約8%に留まっている。

取引所ウォレットの残高総額(2017年1月〜2019年10月)、出典:IntoTheBlock

ウォレットのラベリングは不確かな科学だ。ビットコイン・ネットワークにおける取引所の行動は予想可能なパターンに従う傾向がある。

しかし、大きな残高は予想できない方向に動くことも多く、資金の流れと保有慣行の変化を区別することは難しい場合がある(ウォレットのラベリングデータはIntoTheBlockから入手した)。

結論

2019年も終わろうとする中、ビットコインは停滞しているようだ。2018年の同じ頃に比べると流動性は低い──いまだに株式市場における優良株(仮想通貨におけるビットコインに相当する)よりも桁違いに少ない。

この停滞から抜け出す道は不透明だ。ビットコインのボラティリティは高まる一方、市場で取引されるビットコインの割合は横ばいが続いている。安定性と流動性が、ビットコインがより成熟した資産となるための道のりの一部ならば、2019年は進展が停滞した1年だった。

なおビッド・アスクデータの検証はカイコ(Kaiko)の協力を得た。

翻訳:Emi Nishida
編集:増田隆幸
写真:CoinDesk
原文:Bitcoin Volatility Is Up, Liquidity Stagnant

おすすめ記事: