軟調な生産者物価指数で暗号資産市場が上昇──ビットコインは11万3000ドルを突破
  • 卸売り段階のインフレ指標である生産者物価指数が軟調だったことで、10日序盤に暗号資産市場は上昇した。
  • 強気材料となるニュースが相次いだにもかかわらず、最近は価格が好反応を示していないため、上昇が持続するかどうかは依然として不透明だ。
  • 消費者物価指数は明日11日に発表される。

8月のアメリカのインフレ指標が軟調だったため、少なくとも一時的には、10日序盤に暗号資産(仮想通貨)市場は上昇している。

卸売り段階でのインフレを測る生産者物価指数(PPI)は、8月に前月比0.1%低下し、アナリスト予想の0.3%上昇、前月の0.9%上昇を下回った。前年比では2.6%の上昇で、前月の3.1%上昇より低く、予想の3.3%上昇は大幅に下回った。

食品とエネルギーコストを除いたコアPPIも8月は0.1%低下し、予想の0.3%上昇、7月の0.7%上昇を下回った。前年比では、コアPPIはわずか2.8%上昇にとどまり、予想の3.5%上昇、7月の3.4%上昇を下回った。

暗号資産市場では迅速な反応が見られ、ビットコイン(BTC)は本記事執筆時点で11万3700ドル(約1649万円、1ドル145円換算)まで上昇し、過去24時間では1%以上上昇している。イーサリアム(ETH)も同程度上昇した。ソラナ(SOL)は最近の好調なパフォーマンスを継続し、3.3%上昇して224ドル(約3万2500円)に達した。

今回発表された最新のPPIは、労働市場が急速に弱まる中でインフレ懸念を再燃させた7月のPPI急上昇に続くものだ。トレーダーは、来週のFRB(連邦準備制度理事会)の金利決定に先立って分析すべき重要なデータである、明日11日発表の消費者物価指数(CPI)に注目している。

キュービック・アナリティクス(Cubic Analytics)の創設者であるケイラブ・フランゼン(Caleb Franzen)氏はXに、「まさに我々が歓迎すべきPPIデータだ。CPIのインフレを抑制し、最近のインフレ再上昇の連鎖を終わらせ、FRBが最近の労働市場の弱さに明確に焦点を当てられるようになるのに役立つと考えている」と投稿した。

強気派には慎重な理由がある

他の条件が同じであれば、金融政策の緩和はリスク資産、特に暗号資産にとって好ましいと一般的に考えられている。

ここ1カ月でFRBのジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長はタカ派からハト派に転じており、現在は相次いだ弱い経済指標が中央銀行による一連の利下げの必要性を示唆している可能性がある。しかしビットコインは苦戦している。パウエル議長の発言や指標発表を受けて上昇する一方で、すぐに下落している。

ビットコインの値動きは特に不可解だ。金は投資家の予想どおりの動きを見せ、ハト派的なニュースが出るたびに史上最高値を更新するかのように上昇している。

トレーダーの間では、FRBが来週の政策会合で25ベーシスポイントの利下げを行うとの見方が依然として圧倒的だが、50ベーシスポイントの利下げの可能性に賭けが引き上げられている。CME FedWatchによると、50ベーシスポイントの利下げが行われる確率は現在10%に上昇している。この確率は、PPI発表前は7%、1週間前は0%だった。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Midjourney/Modified by CoinDesk
|原文:Crypto Prices Buoyed by Soft PPI Data; Bitcoin Tops $113K

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