- サークルは、自社のステーブルコインUSDCに関する取引の取り消し方法を検討していると、フィナンシャル・タイムズが報じた。
- TradFiで可能なように、詐欺や紛争が発生した場合に取引の払い戻しを可能にすることは、ステーブルコインを主流へと押し上げるのに役立つと、同社のヒース・ターバート社長は述べた。
- こうした展開は、決済のファイナリティを絶対条件と考える一部の暗号資産純粋主義者を不快にさせる可能性がある。
サークル・インターネット(Circle Internet)は、自社のステーブルコインであるUSDコイン(USDC)に関する取引の取り消し方法を検討していると、フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)が25日に報じた。
世界第2位の規模を誇るステーブルコインの発行企業は、「取引の可逆性の可能性があるかどうかを検討中だ」と同社のヒース・ターバート(Heath Tarbert)社長が同紙のインタビューで語った。
ステーブルコインは、法定通貨などの伝統的金融(TradFi)の資産の価値に連動するトークンで、暗号資産(仮想通貨)システムにおける重要な歯車であり、ユーザーにとって、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などのトークンに影響を及ぼす可能性のあるボラティリティに対するヘッジ手段となっている。また、国際決済手段としても人気が高まっている。CoinGeckoが追跡しているデータによると、このセクターの時価総額は約3000億ドル(約45兆円、1ドル150円換算)。USDCだけでも時価総額は740億ドル(約11兆1000億円)、市場のリーダーであるテザー(USDT)は1730億ドル(約25兆9500億円)だ。
ターバート氏は、TradFiで可能であるのと同様に、詐欺や紛争が発生した場合に取引の払い戻しを可能にすることは、ステーブルコインを主流へと押し上げるのに役立つと述べた。
こうした展開は、決済のファイナリティを絶対条件と考える一部の暗号資産純粋主義者を不快にさせる可能性がある。取引の取り消しの可能性を取り入れることで、中央機関の仲裁に頼ることになる可能性があり、これは、暗号資産の中核を成す分散化とは正反対であると多くの人が考えている。
「同時に、決済のファイナリティも求めている」とターバート氏は述べた。「即座に送金できることと、取り消しができないこととの間には、本質的な緊張関係があるのだ」
サークルは6月に新規株式公開(IPO)を成功させた後、今年、米国におけるステーブルコインの普及拡大を牽引してきた。
同社は、さらなるコメントを求めたCoinDeskの要請にすぐには応じなかった。
|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:ヒース・ターバート氏(CoinDesk archives)
|原文:Circle Examines Ways to Reverse Transactions to Counter Fraud, Disputes: FT


