- ビットコインのオプション市場において、トレーダーはますます慎重になっており、デリビットでは行使価格が低いプットオプションの需要が顕著に増加している。
- ビットコインの価格は、マクロ経済の圧力と現物ETFの需要減少の影響を受け、ピーク時から18%以上下落している。
- 8万ドルと9万ドルのプットオプションの建玉が多く、さらなる価格下落に対するヘッジを示唆している。
デリビット（Deribit）に上場されているビットコイン（BTC）のオプションは、トレーダーの警戒感の高まりが見られる。現物価格に弱気の兆候が見られる中、一部は8万ドルへの下落に備えている。
デリビットにおけるBTCオプションの想定建玉（有効な契約のドル換算価値）は400億ドル（約6兆円、1ドル=150円換算）超の高水準を維持し、取引は11月・12月限の行使価格11万ドル付近に集中している。しかし同時に、行使価格8万ドルへの需要も増加しており、トレーダーがBTCの売りが継続すると予想していることを示している。
デリビットは「8万ドル付近のプットオプションが顕著に増加していることは、トレーダーがさらなる下落に対するヘッジを強化していることを示している」と述べた。世界最大の暗号資産（仮想通貨）オプション取引所であるデリビットは、世界のオプション取引の80％以上を占めている。
オプションは、現物あるいは先物市場のエクスポージャーをヘッジしたり、価格の方向性、ボラティリティ、時間価値を予測したりするために広く利用されている。プットオプションは、購入者に原資産を特定の期日までに予め定められた価格で売却する権利（義務ではない）を与える。プットは価格下落に対する保険であり、コールは強気な賭けを表す。
8万ドルのプットは、オプションの満期日までに現物価格がこの水準を下回るという賭けだ。
記事執筆時点で、デリビットにおける8万ドルのプットオプションの建玉残高は10億ドル（約1500億円）を超え、9万ドルのプットは約19億ドル（約2850億円）に達している。これは人気の12万ドルおよび14万ドルのコールオプションの建玉残高合計にほぼ匹敵する水準だ。
ただし、これらの行使価格の高いコールの建玉残高は、すべてが強気な賭けではなく、現物のロングポジションに対するオーバーライト、つまりショートポジションから生じていることに注意してほしい。BTCの保有者は、保有するコインに加えて追加の利回りを得るために、高権利行使価格のコールオプションをショートしている。
最高値から18%下落
ビットコインの価格は、約4週間前に12万6000ドル以上の過去最高値を記録して以来、18%以上下落した。今週、価格は一時的に10万ドルを下回った。
この売りは、マクロ的な圧力、特にアメリカ連邦準備制度理事会（FRB）のジェローム・パウエル（Jerome Powell）議長によるタカ派的な発言により、現物ETF（上場投資信託）の需要が弱まったために生じた。
シンガポールに拠点を置くQCPキャピタル（QCP Capital）は11月5日のマーケット・アップデートで、「マクロ的な圧力は、アメリカのビットコイン現物ETF から4日連続で合計約13億ドル（約1950億円）の純流出という形で、暗号資産市場に影響を与えた。この反転により、2025 年の最大の追い風の一つが、短期的には逆風となった」と述べた。
同社は「現物需要の軟化と強制的なレバレッジ解消が衝突し、安値では10億ドル（約1500億円）以上のロングポジションが清算された」と付け加えた。
Ecoinometricsは最近のレポートで、ビットコインの価格が10万ドルの水準に近づけば近づくほど、フィードバックループが発生するリスクが高まると警告している。フィードバックループとは、価格の下落がビットコインETFからの流出を引き起こし、それが現物価格のさらなる下落圧力となる現象だ。
記事執筆時点でビットコインは10万3300ドルで取引されており、過去24時間で約1.9％上昇している。
｜翻訳：CoinDesk JAPAN
｜編集：井上俊彦
｜画像：Shutterstock
｜原文：How Deep Are Bitcoin Traders Hedging After Recent Price Dip Below $100K?
