- ブラジルのフィンテック企業Tanssiは、サンパウロの小規模農家向けマイクロローンを目的に政府支援のブロックチェーンプロジェクトを開始。
- 同社が開発した独自チェーンを基盤とし、取引手数料の予測可能性を信頼性を重視。
- 1万5000レアル(約2800ドル)までの迅速な小口融資を目指す。
ブラジルのフィンテック企業Tanssiは、サンパウロの小規模農家向けマイクロローンなど、政府支援のブロックチェーンプロジェクトを開始する。
サンパウロで開催された「Blockchain Conference Brasil」でTanssiの事業開発ディレクター、ルイス・ダル・ポルト(Luis Dal Porto)氏は、マイクロローンサービスは12月にローンチ予定で、そのためのモバイルアプリはすでに稼働しているとCoinDeskに語った。
プロジェクトはサンパウロ市政府が支援し、小規模農家に最大1万5000レアル(約2800ドル、約44万円)の迅速な融資を行う。システムはTanssiが開発したブロックチェーン基盤上で運用され、開発者は専用のブロックチェーン(アプリチェーン)を構築できる。
だが、ブロックチェーンはあくまで裏側で使われている。
「実際、利用者がブロックチェーンを意識することはない。農家が使用するのはモバイルアプリで、物理的な決済端末も用意されている」とダル・ポルト氏は語る。
「どのように信用(与信)が行われたかを管理し、リスクを抑えるために完全に閉じたエコシステムになっている」
パブリックチェーンではなく独自チェーン
同プロジェクトがイーサリアムやソラナなどのパブリックチェーンではなく、Tanssiを採用した理由は、性能とコストに対する懸念だったとダル・ポルト氏は述べた。公的資金が使われるため、パブリックなパーミッションレスチェーンでしばしば生じる混雑や手数料の変動、ダウンタイムといったリスクよりも、手数料の予測可能性と信頼性が重視された。
「どのパブリックチェーンでも起こり得る典型的な問題は、混雑する時間帯や手数料の高騰だ。これは非常に重要なことを損なう。予測可能性だ」「決められた資金を使う時には、それを超えないという予測可能性が不可欠だ。仮に5%で貸すとしても、チェーンの手数料が変動すれば、それは予測不可能なコストになる」
ブラジルの中央銀行は、自国のデジタル通貨「Drex」の全面展開を中断しているが、プロジェクトの関係者たちは、地方自治体や民間主導のブロックチェーンプロジェクトは今後も成長を続けると考えている。
例えば、食料給付のような自治体支援のためにトークンが利用され、スポーツ賭けアプリでのギャンブルといった支援の目的に合わない支出は、自動的にブロックするよう設計されている。トークンはモバイルアプリや物理端末から利用できる。
サンパウロでのマイクロローンプログラムは、12月に稼働する見通しだ。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:サンパウロの農家(Shutterstock)
|原文:Brazil’s Economic Center São Paulo to Pilot Blockchain-Based Microloans for Farmers


