「漫画全巻ドットコム」のTORICO、ETHトレジャリー戦略始動──國光氏、アドバイザーに

「漫画全巻ドットコム」などを運営する東証グロース上場のTORICOは12月17日、Web3ゲーム・プラットフォーム事業を展開するMint Townと資本業務提携契約を締結したと発表した。

これに伴い、Mint Townが運営するファンド等を引受先として約4億7000万円を調達し、その手取金の全額を暗号資産イーサリアム(ETH)の購入に充当する方針を明らかにした。

本提携により、Mint Town運営の投資ファンドがTORICOの筆頭株主(議決権比率 約23.36%)となる。

また、Mint Town代表取締役CEOの國光宏尚氏は、TORICOの「トレジャリー(DAT)事業戦略アドバイザー」に就任し、2026年6月の株主総会を経て取締役に選任される予定となっている。

TORICOはEC事業に加え、新たな収益基盤として暗号資産投資事業(DAT戦略)を推進する。同日、國光氏は自身のブログにおいて、今回の戦略的意図を「トレジャリー(DAT)2.0」と定義し、その詳細を解説した。

國光氏は、先行するメタプラネットがビットコイン(BTC)の保有を通じて企業価値を大幅に向上させた事例(2024年4月から2025年6月で株価85倍)を挙げ、「株式市場を活用してデジタル資産を保有する」という金融モデルが日本市場で成立することが証明されたと指摘した。

その上で、TORICOが投資対象としてBTCではなくETHを選択した理由について、資産の性質の違いを挙げている。

同氏は、BTCは「デジタル・ゴールド(価値の保存)」であり、保有量が増えてもそれ自体は収益を生まない。対してETHは「デジタル・オイル(実需)」としての側面に加え、ステーキングやDeFi運用を通じてキャッシュフローを生み出すことが可能だとしている。

また、暗号資産税制における分離課税導入の議論に関しても、國光氏は「税制プレミアムが薄れたとしても、資金調達をして1株あたりの暗号資産保有量を増やし続けるという企業の成長メカニズムの本質は変わらない」との見解を示している。

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TORICOは今後、Mint Townの支援を受けて暗号資産の管理・運用体制を構築し、2026年1月より段階的にイーサリアムの購入を開始する計画である。

|文:栃山直樹
|画像:同社ウェブサイトから(キャプチャ)

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