エラーか詐欺か? 消えた140億円のビットコインの行方【エフコイン】

エラーか詐欺か?  消えた140億円のビットコインの行方【エフコイン】

中国生まれの仮想通貨取引所エフコイン(FCoin)が2020年2月に破綻して以来、ブロックチェーンリサーチャーらは原因は何か、消えた仮想通貨はどこに移されたのかを解明するためにデータを詳しく調べている。

約140億円のビットコインが不足

シリコンバレーに拠点を置くアンチェインAI(Anchain AI)の最近のレポートは、エフコインの仮想通貨は内部の人間によって盗まれたのではないかとし、データのエラーが原因とするエフコインの公式見解に疑問を呈した。

レポートのタイトルは「取引所エフコインの閉鎖:技術的問題か計画的詐欺か?(FCoin Exchange Shutdown: Technical Difficulties or Planned Scam?)”」と挑発的なものだった。

2020年2月17日(現地時間)、エフコインは最大1億3000万ドル(約140億円)相当のビットコインが不足していると発表した。顧客のビットコインを保管していたエフコインの「コールド」ウォレットは空になっていた。

アンチェーンAIによると、2019年から2020年2月までの間にコールドウォレットの仮想通貨は4つの取引所──ゲート.io(Gate.io)、バイナンス(Binance)、オーケーエックス(OKEx)、フォビ(Huobi)に、そして、そこからさらに先に移されたようだ。

エフコインの問題は2018年に始まったとした、中国に拠点を置く分析企業ペックシールド(Oeckshield)よりも、アンチェーンAIは疑念に関してより率直だ。ペックシールドによると、エフコインは取引の会計処理を適切に行っておらず、ユーザーが仮想通貨を他の取引所に「流出させる」ことができた。

4つの大手取引所に移動

出典:Anchain AI

2万5350BTC以上が、アンチェーンAIがレポートの中で「エフコイン_1(Fcoin_1)」と名付けたメインのコールドウォレットで出し入れされ、最後の54BTCは2月13日の取引で引き出された。

4日後、エフコインの創業者Zhang Jian氏は、エフコインは顧客の引き出しを処理することができないと発表した。

ウォレットの管理をする秘密鍵がハードウエアデバイスや安全な場所に隠された書類などオフラインで保管されている場合、ウォレットは「コールド」と見なされる。仮想通貨取引所は、顧客の資産の長期的保管のためにコールドウォレットを使い、資金はめったに動かない。

2018年、エフコインはビットコインのコールドウォレット・アドレスを透明性に関するページで発表した。そのページは今、エフコインのWebサイトのトップページにリダイレクトされ、トップページには「エフコインのシステムアップグレード」という説明がブロークン・イングリッシュで掲載されている。

アンチェーンAIの分析

幸いなことに、このコールドウォレット・アドレスは2018年にプレスリリースでも発表されており、アンチェーンAIがエフコインの4万のウォレット間の21万件以上の取引を分析する出発点となった。

コールドウォレットから9889BTCが、エフコインが管理する別のウォレットに移され、そこからさまざまなアドレスを通して分散していった。

2019年はじめのアンチェーンAIの分析は、エフコインが数百ものビットコインを他の取引所に移したことを明らかにした。移されたBTCの数が多い4つの取引所の中でも、チャン氏がかつてCTOを務めたフォビが最も多くのBTCを受け取っていた。

2019年の数カ月間、動きはなかったが、9月に再開し、オーケーエックスが優先的な送り先となった。

出典:Anchain AI

真相は闇の中?

2018年に設立されたエフコインは「取引マイニング」モデルを採用し、独自トークン「エフコイン」でトレーダーに手数料の払い戻しを行っていた。

例えば、顧客が取引手数料をビットコインで支払うと、同じ額が独自トークン「エフコイン」で送り返された。このトークンの保有者はさらに取引所の手数料収入の80%をトークン保有のインセンティブとして受け取った。

当記事掲載時点でエフコインはCoinDeskのコメントの求めに応じていない。

不正の告発に対してチャン氏は、エフコインの推定7000〜1万3000のビットコインの不足は、不適切な会計処理だけでなく、取引マイニングモデルにも原因があるとソーシャルメディアで説明した。

英語に翻訳され、2月17日にレディット(Reddit)に投稿された文章の中でチャン氏は「特に、公開されている嘘は遅かれ早かれ、皆の注意深い目のもとで暴かれるだろう」と述べた。

アンチェーンAIは、エフコインの取引には疑わしいものがあったとする強い主張を展開したが、エフコインが計画的にビットコインを4つの大手取引所に移し、その後、さらに別の場所に移したという推測を証明することはきわめて難しい。

レポートのタイトルになっている疑問について、アンチェーンAIのレポートは結論を出していない。

「エフコインの閉鎖は、技術的問題のためか、あるいは計画的な詐欺の結果なのか? エフコインのチームだけが確かなことを知っている」とリサーチャーらはレポートの最後に記した。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:Error or Plunder? Report Suggests FCoin Purposely Moved Customer Bitcoin Since 2019

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