ビットコイン、5000ドル割れ──結局、現金が安全資産なのか

パンデミックと暴落に直面した人々が頼るのは、ビットコインやゴールドですらなく、キャッシュだった。

40%近い下落

清算が仮想通貨市場で始まった。コロナウイルス懸念からアメリカがヨーロッパからの渡航制限を発表したのは前日の3月11日だった。

過去24時間(記事執筆時点の協定世界時12日19時4分、日本時間13日4時4分)でビットコインは21%、イーサ(ETH)は27%下落した。これは伝統的な市場よりも大きな下落。S&P500は協定世界時18時45分(東部標準時14時45分)時点で約8%下落している。

(編集部注:13日朝、ビットコインはさらに下落し、日本時間10時37分時点で4840ドル、過去24時間で約39%の下落となっている)

「破滅的だ。ゴールドのような伝統的な安全資産が下落している」とKoineの事業開発・法人セールス責任者、ルパート・ダグラス(Rupert Douglas)氏は語った。

仮想通貨にとって指標的な位置づけとなるデリバティブ取引所のビットメックス(BitMEX)でトレーダーが保有資産を清算していることが、こうした動きの一部を後押しした。

株式での損失が積み上がるなか、必要性が高まったキャッシュを確保しようとトレーダーがゴールドを売っているため、ゴールドも打撃を受けた。

「仮想通貨取引所以外でも資金コストが高騰し、この下落圧力によって仮想通貨市場は流動性の危機に陥っている」とロンドンに拠点を置くデジタルアセット企業Bequantのリサーチ責任者、デニス・ビノコウロフ(Denis Vinokourov)氏は述べた。

「この締め付けは、市場が売り手側の流動性プロバイダー/マーケットメーカー企業によってほとんど支配されているという事実によってさらに悪化した。彼らには買い手側の需要しかない」

出典 : Coinalyze

過去24時間で、7億ドル以上がビットメックスで清算された。1年間で2番目に高い1日あたりの合計額となった。

「マージンコール(追い証)に対応するための清算。これは最悪のシナリオだ」とアジアに拠点を置く相対取引(OTC)トレーダー、ジェイソン・ルー(Jason Lu)氏は述べた。

しばらくの間、ビットメックスの無期限契約は、コインベース(Coinbase)のようなスポット取引所でのビットコイン価格よりも割安に取引されていたとルー氏は述べた。

「マットレスの下に隠したキャッシュ」

ますます多くの投資家にとって、危機における安全資産は仮想通貨やゴールドではなく、キャッシュのようだ。

年金口座に仮想通貨投資を提供するiTrustCapitalによる最近の調査は、2月末以来、安全資産の傾向がいかに変化したかを浮き彫りにした。

出典 : iTrustCapital

「マットレスの下に隠したキャッシュ」を安全資産と答えた人は、2月は回答者の18%だったが、3月11日までに約27%に急増した。「ゴールド」と回答した人は37%から33%に減少した。この調査は3月12日のゴールド価格の3%の下落よりも以前に行われた。

出典 : TradingView

多くの仮想通貨支持者は長い間、究極の安全資産としてビットコインをゴールドに例えてきた(しばしば「デジタルゴールド」というフレーズが使われた)。だが今、市場は違うと語っている。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:Cash Is the New Safe Haven as Crypto, Gold Continue to Tank