個人投資家はビットコインを買い、機関投資家は売っている：トレーダー談

新型コロナウイルスによる世界的な急落を受けて機関投資家が株式と一緒にビットコインを手放すなか、ビットコインを伝統的に支えてきた層──個人投資家──が買いの多くを占めている。市場関係者たちが述べた。

取引は急増

価格はまだ下落傾向にあるかもしれないが、多くのプラットフォームで取引は活発だ。

「3月の取引高は、すでにこれまでの累積取引高を超えた」と3カ月前に創業した、ビットコインを中心とした仲介企業リバー・ファイナンシャル（River Financial）のアレックス・ライシュマン（Alex Leishman）CEOは述べた。

「我々の顧客の約20%は今月登録した。（中略）初めてビットコインを買う人たちから、今までにない関心が寄せられている」

リバー・ファイナンシャルはアクティブユーザーが1万人弱と比較的小規模だが、取引高の急増は市場全体に広がっているようだ。

ニューヨークに拠点を置く仮想通貨取引所ジェミニ（Gemini）のコミュニケーション責任者、キャロリン・バディノ（Carolyn Vadino）氏は、取引は週末に急増したと述べた。

「市場が不確かなこの時期に、我々は通常よりも高い取引高を見込み続けている」とバディノ氏は述べた。

同様に、世界の複数の主要仮想通貨取引所に流動性を提供しているラテンアメリカの相対取引（OTC）トレーダーは、3月12日の劇的な価格急落以降、通常の「2〜3倍」の買い注文があると述べた。

「市場から撤退しようとしているロング（買い）ポジションの人はまだたくさんいる」と匿名を希望したこのトレーダーは語った。

「何よりも現金化を行っているヘッジファンドが関連している。（中略）マイナーや仮想通貨をロングしている人たち向けにビットコインを担保にしたローンが数多く存在している」

アメリカに拠点を置く別のOTCトレーダーも、高いレバレッジをかけたローンを持つ企業が機関投資家の売りの動きに乗っていることを認めた。

ラテンアメリカの匿名のトレーダーによると、それでも個人投資家がビットコインを非常に積極的に買っており、市場全体を混乱させている。

「この状況が長引かないことを願っている。害をもたらす可能性があるからだ。我々は皆、生き延びるためにある種のボリュームが必要だ」と彼は述べた。

つまり、売り、取引、レバレッジする人よりも、多くの人が買っていると、彼のような流動性プロバイダーは裁定取引から利益を上げることは難しくなる。

これが取引所に新しいマーケットメーカーを見つけるよう圧力をかけたり、マーケットメイカー自身に別の戦略を試すことを強いることになる。それが数カ月にわたって起きたら、どのような結果になるかは誰にもまったくわからない。

「（ビットコイン価格が）9000ドルだった時の半分のボリュームです。取引されているビットコインの数が同じだとしても」と彼は述べた。

ビットメックス（BitMex）のような取引所は先週、劇的なボラティリティの間に短期的に過剰な負担がかかり、1時間にわたる機能停止を経験した。

分析企業スキュー（Skew）によると、3月12日にビットメックスとオーケーエックス（OKEx）だけで100億ドル近くのビットコイン先物取引が行われた。

しかし、オーケーエックスの金融市場ディレクター、レニックス・ライ（Lennix Lai）氏は、急速な価格下落がシステムに不具合をもたらした場合にプラットフォームでの取引を自動的に停止する「サーキットブレーカー」を大手取引所が導入することは意味がないと述べた。

「ある大手取引所がサーキットブレーカーを備え、他が取引を続けたとしても、下落圧力は単に他の取引所に移るだけ」とライ氏は指摘した。

そのため、リバー・ファイナンシャルのような小規模な仲介企業は、前例のないトラフィックのためのバックエンド売却メカニズムを備えることに重点を置いている。

「ボラティリティが起こり、注文が入ってくるタイミングを選ぶことはできない」とライシュマン氏は述べた。

「弊社の注文のほぼすべては買い注文。（中略）ユーザーに約束している価格で我々が損失を出すことなく、かつフェアな価格であるようにする必要がある」

一方、少なくともOTCデスク、カンバーランド（Cumberland）のトレーダーは長期的な不安定さを心配していないようだ。

「流動性プロバイダーとしての役割において、我々はカウンターパーティーからの買いと売りの両方を見続けるだろう」とカンバーランドの広報担当者は述べた。

「これを市場に再び参加するためのチャンスとして使っている、しばらく傍観していた人たちも含めて」

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