ビットコインは不安定な値動き——株や金とも比較【米記者の市場観測】

連邦準備制度理事会(FRB)が金利を0%近くまで1%切り下げ、アメリカ経済へ7000億ドル(約740億円)注入すると約束した後の3月15日午後(現地時間)からビットコイン価格はまるでジェットコースターのように推移した。このニュース報道で上昇してからまた下落した後、仮想通貨の買いの取引高は持ち直した。

それから24時間、市場は活発に動いている。

アメリカと世界経済へのコロナウィルスの影響懸念を相殺するために取られた中央銀行の抜本的な措置は、4回目の量的緩和策(QE)も含まれている。しかし、この米国債と住宅ローンの購入策はすでにナーバスになっている株式市場を驚かせ、世界中の株式市場で大きな売りが進んだ。

日経225推移(データ:TradingView)

下落が引き金となってサーキットブレーカーが発動し、ダウ平均株価の先物取引は15日夕方(現地時間)に一時停止した。日本の日経平均株価もまた買いよりも売りが進んだ。

一方でビットコイン(BTC)の反応はトレーダーがどうニュースを受け取ればよいのか分からなかったことを示していた。仮想通貨は当初、15日の緊急会議と声明から1時間で約8%上昇した。世界中の主要な仮想通貨は上がり続け、その夜、コインベース(Coinbase)といった取引所では5,990 ドルもの高値で取引された。しかしそれは短期間なものに終わった。16日朝(現地時間)までにビットコインは複数の取引所で4500ドルを割るところまで下落していたのだ。

ビットコインが下落した後、買いのボリュームは回復し3月16日18時(協定世界時。日本時間では3月17日午前3時)時点で5,069ドル前後で取引され、過去24時間で4%下落した。

Coinbaseにおけるビットコインの取引推移(データ:TradingView)

S&P 500種指数もまた同時点で下がり、自動の取引制限が掛かった後に9%下落した。3月13日にアメリカ市場が閉まる最後の1時間、トランプ大統領がコロナウィルスによる国家非常事態を宣言した後から比べると厳しい変化だ。

16日10時(協定世界時。日本時間19時)頃にトレーダーたちが金(ゴールド)の売りボタンを押したため金はその輝きを失った。しかし間もなくして、ビットコインが売られると同時に金は回復を見せた。

金(ゴールド)の取引推移(データ:TradingView)

「金(ゴールド)は今日持ち直していて、私は短期的にはかなり強気になっています」と台湾の貿易会社Kronos Researchのジャック・タン(Jack Tan)氏は述べた。

FRBのニュースに先立つ3月14日の週末の大部分を4,600ドルから5,900ドルの間で推移した後、トレーダーはビットコインの購入するポイントとして再び5,000ドルのエリアを探っている。

「ビットコインは5,000ドル近辺で支持されているようです。私はそのレベルで購入しました」とタン氏は述べた。

マイニングの収益性が不透明に?

ビットコインの5,000ドルの価格レベルは仮想通貨マイナーに対して疑いをもたらす。マイニングの収益性に関して不確実性が大きくなるからだ。しかし、ロンドンのデジタル資産会社Bequantのリサーチ部門の責任者、デニス・ヴィノクロフ(Denis Vinokourov)氏はマイニング業界はビットコインネットワークのセキュリティにおいて要であり、依然として強いと考えている。

「小規模なマイナーにとっては(不確実性が)当てはまるかもしれないが、マイニングのエコシステムは全体としては変わらずに強力でセキュアなままだ。さらに、事例証拠を除けば、ビットコインマイニングのハッシュレートの具体的な低下の兆候はまだない」とヴィノクロフ氏は述べた。

他の仮想通貨の過去24時間の目立った動きとしては、アイオタ(IOTA)が13%低下、デクレッド(DCR)が12%の赤字、イーサリアム(ETH)が8%下落した。

翻訳:下和田 里咲
編集:T.Minamoto
原文:Bitcoin Volume Gains Traction After 24-Hour Roller-Coaster Ride