ドール、食品追跡ブロックチェーンを2025年までに全社展開

食品大手ドールは、5年間のブロックチェーン計画で食品の安全性を強化する。

企業責任・持続可能性報告書を発表

ドールは、2025年までに食品事業の安全性を強化するために、ブロックチェーンを使ったタグ付け、および他の「先進的なトレーサビリティ・ソリューション」を3つの事業部門──トロピカルフルーツ、新鮮野菜、その他の多様な製品──に導入する予定だ。

4月22日に発表された「2020年度企業責任・持続可能性報告書」に記された目標は、世界最大級の食品大手ドールがフード・トレーサビリティ・システム全体を再設計する道筋を示した。

注目すべきは、商品をリコールする際に、サプライチェーンの問題箇所を特定するスピードを向上させること。これは、ドールがIBMフードトラスト(IBM Food Trust)との提携を通じて長年、改善に取り組んできたことだ。

「ブロックチェーンは、食品の安全調査に必要な時間を数週間からわずか数秒に短縮する」と報告書は記した。

「ブロックチェーンを使って記録された農産物は、サプライチェーン上で即座に追跡でき、リコールの際に小売業者や消費者の信頼を得ることができる」

高速な追跡を実現

分散化されたデータは、調査をより迅速なものにするとドールは報告書で述べた。また、同社はそのデータを使って、消費者により多くの情報を提供する。

ドールは、「最終的」には、商品パッケージをスキャンすることで「農場から店頭までのプロセス」を明らかにできるようにし、サプライチェーンの情報公開を行う計画と述べた。

報告書によると、これはドールがサラダと生鮮野菜のサプライチェーンですでに行っていたことだ。同社は2019年、すでにこうしたデータを小売クライアントと共有していたと述べたが、競合がデータを見ることを防ぐ保護機能をプラットフォームに組み込んだ。

同社はまもなく、他の商品向けのブロックチェーンシステムをローンチする予定。ドールは、具体的な商品名やスケジュールは明らかにしていない。

ドールがIBMブードトラストの前身であるIBMのフード・ブロックチェーン・コンソーシアムの一員として分散型台帳の実験を開始してから、3年近くが経過している。

ドールは少なくとも今後5年間は、そのパートナーシップを継続するようだ。報告書は、コンソーシアムのメンバーであるウォルマートとグループの土台であるIBMがドールと協力して、「食品の安全性に大きな変化をもたらす」ブロックチェーンの可能性を示すと述べた。 IBMの広報担当者は、ドールの計画についてのコメントを控えた。

我々は、ドールの広報担当者にコメントを求めたが、記事公開時点までに返答はなかった。

政府の使用も拡大

政府の食品監視当局は、ブロックチェーンに注目している。食品医薬品局(FDA)の次期「New Era of Smarter Food Safety(よりスマートな食品安全性の新時代)」計画は「ブロックチェーンテクノロジー」の実装を後押しすると2020年2月のスピーチでFDAのステファン・ハーン(Stephen Hahn)長官は述べた。

この計画の策定作業で主導的な役割を果たしたフランク・イアンナス(Frank Yiannas)副長官は、以前はウォルマートの食品安全業務を担当し、IBMフードトラストと緊密に連携していた。

ウォルマート在職中、同氏は葉物野菜の供給者がIBMブードトラストのツールを使って供給を追跡し、また汚染された可能性のある野菜をより迅速に追跡する取り組みを推進した。

翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:Dole Plans to Use Blockchain Food Tracing in All Divisions by 2025