650兆円超、富裕層の資産を管理するファミリーオフィスがデジタル資産に注目する理由

650兆円超、富裕層の資産を管理するファミリーオフィスがデジタル資産に注目する理由

ブロックチェーン技術を活用するデジタル資産は今後、欧米などの超富裕層の資産を管理する「ファミリーオフィス」にとって、注目される新たな投資手段になるだろう。

一部の機関投資家がデジタル資産市場に参入するなか、ファミリーオフィスは特にブロックチェーンが持つ可能性に注目している。ファミリーオフィスは一般的に1億ドルを超える資産を保有し、投資活動を通じてその資産を拡大してきた。

ここ数週間における機関投資家によるデジタル資産市場への参入は、やや大げさに報じられているように思える。しかし、現在の市場動向によって、デジタル資産への投資を強化するファミリーオフィスは増えてきている。

コンスタンティン・コーガン(Constantin Kogan)氏は、ビットブル・キャピタル(BitBull Capital)のベンチャー・パートナーで、2012年から暗号資産(仮想通貨)投資家でもある。企業経営、テクノロジー、金融分野で10年以上の経験を持つ。

ファミリーオフィスとは?

アナリストたちは、ファミリーオフィスの運用資産総額は6兆ドル(約650兆円)を超えると推定する。ファミリーオフィスはこれまで、ヘッジファンドや不動産、未公開株などに投資する傾向があった。

「UBS Global Family Office Report 2018」によると、平均的なファミリーオフィスは資金の22%を未公開株に投資している。次に不動産が17%、ヘッジファンドは5.7%となっている。

出典 : UBS

ヨーロッパで生まれたファミリーオフィスは、アメリカではモルガン家やロックフェラー家の名前とともに知られてきた。その後、ミリオネアやビリオネアが続々と登場し、ファミリーオフィス業界の成長率は過去に例のないものとなっている。現在、世界中には1万以上のファミリーオフィスが存在すると言われる。

ファミリーオフィスは、超富裕層の個人や家族の流動資産を一括して管理する専用の資金運用サービスで、主な目的は一家の富と遺産を管理し、増やし、守ることにある。最近ではその意味は広がり、複数の一家の財産を管理する組織を示すこともある。

ファミリーオフィスとデジタル資産

UBSのレポートによると、ファミリーオフィスの57%はブロックチェーンは将来、投資戦略や投資行動を変えると考えている。

フィデリティ(Fedelity)の調査では、ファミリーオフィスや基金などを含むアメリカの400以上の機関投資家のうち22%は、デジタル資産に関連した投資商品を検討していることが分かった。

また、調査に回答した投資家の72%がデジタル資産ベースの投資商品の購入に問題はないと答えたという。

その主な理由はおそらく、ブロックチェーンベースのデジタル資産と伝統的な資産の相関性の低さにあるだろう。そしてもう1つの理由は流動性だ。

ブロックチェーンが持つ意味

平均的なファミリー・オフィスは、資金の最大7%を現金で保有する。しかし、流動性を維持するために現金に長期的に依存することにはリスクがあり、最終的にはデジタル資産に移行する可能性がある。

資産の特徴
出典 : Dug Campbell

ブロックチェーンベースのデジタル資産は、中間業者が大きな位置を占める従来の金融システムの性質と異なり、法定通貨の安定性は、特に地政学的な緊張感が高まる状況下では、その価値は上下する。

現金の取引や保有にかかるコストは、短期的には無視できるほどのものだ。しかし、長寿や世代を超えた富を重視する一族にとっては、長期的なコストは許されるものではない。

例えば、アクセンチュア(Accenture)と調査会社マクラガン(McLagan)のレポートによると、ブロックチェーンは投資銀行の財務報告コストを70%、業務オペレーションの運用コストを50%、コンプライアンス対応コストを30%~50%削減できるとしている。

ファミリーオフィスのための新しい投資技術

ファミリーオフィスはデジタル資産を活用することで、従来の投資戦略のような低い流動性に悩まされることなく、ベンチャー投資戦略のうまみを享受できるようになる。そしてこうした状況によって暗号資産のカストディアン(管理者)は、ブロックチェーン業界の1セクターとしてイノベーションと成長を続けることが可能だ。

デジタル資産は、ファミリーオフィスのポートフォリオの中でより重要な位置を占めるよう運命づけられているだろう。分散化、他の資産との相関性の低さ、流動性はこの種の機関投資家にとって最も重要であり、このストーリーは大きな可能性を秘めているだろう。

ブロックチェーンエコシステムはまだ新しいものだ。だがそのイノベーションはこれからもファミリーオフィスの注目(と投資)を集めていくだろう。

翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:ニューヨーク・マンハッタン(Shutterstock)
原文:Why Family Offices Should Consider Digital Assets for Their Portfolios

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