コインベース、証拠金取引を停止へ──商品先物委のガイダンスで

米暗号資産(仮想通貨)取引所のコインベース(Coinbase)は11月24日、新たな証拠金取引(レバレッジ取引)を停止し、すべての指値注文をキャンセルすると発表した。

同社は協定世界時11月25日22時(日本時間26日7時)以降、既存取引の満期とともに、来月には証拠金取引機能を完全に終了させる。米商品先物委員会(CFTC)が3月に発表したデジタル資産の引き渡しに関する指導要領に沿う措置だという。

CFTCのガイダンスは、ビットフィネックス(Bitfinex)に対する2016年の取り締まりが発端となっている。顧客が証拠金商品やレバレッジ商品を通じて暗号資産を獲得した場合を含めて、顧客が暗号資産の支配権を法的に得たと主張できる場合に関する規則を提供するためのものだ。

ガイダンスによると、レバレッジ契約や証拠金契約を通じて購入された資産は清算することができない。

「実際の引き渡し」

コインベースは、証拠金契約の規定に従って暗号資産が引き渡された場合、自社や関連する事業体などが暗号資産に対して、いかなる支配権を持つことはできないというCFTCの要件を遵守することは、不可能ではないにしても困難と考えているようだ。

CFTCのガイダンスでは、「実際の引き渡し」は、顧客が、証拠金商品あるいはレバレッジ商品を通じて獲得した場合を含めて、購入した暗号資産を支配した時に発生し、売り手はその暗号資産に対していかなる支配権を所有することはない。

コインベースは過去にこの点について反論している。当時はまだ提案段階だったガイダンスに対するCFTCへの意見書簡の中で、コインベースは売り手の関連事業体などは暗号資産を保有することができるべきだと主張した。

「デジタル資産を移動するための自由な能力を要件とすることは、実質的にアメリカの事業体、規制を受けた事業体、あるいはコールドストレージや他の資産保護方法を用いる事業体が証拠金取引を通じて獲得したデジタル資産を保有できないことを意味する」と当時のコインベースの最高法務・リスク責任者、マイク・レンプレス(Mike Lempres)氏は2018年に書いている。

2020年に承認されたガイダンスの最終版では、オファーした当事者、売り手、関連する事業体は、コモディティに対していかなる利害、法的権利、支配権を持つことはできないとされた。

コインベースがレバレッジ商品を提供したい場合は、原則的にCFTCに商品(コモディティ)取引所として登録しなければならない。

クラーケン(Kraken)など、アメリカの他の暗号資産取引所も証拠金取引を扱っている。米CoinDeskはクラーケンにガイダンスを検討しているかについてコメントを求めたが、まだ返答はない。

「アメリカの顧客を保護し、安心を提供するために、証拠金商品に対する明確で良識ある規制が必要と考えている。この目標を達成するために、規制当局と緊密に協力していきたい」とコインベースはブログに書いている。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:コインベースのブライアン・アームストロングCEO(CoinDesk archives)
原文:Coinbase Will Suspend All Margin Trading Tomorrow, Citing CFTC Guidance