リップル、2年ぶりの高値──エアドロップへの期待が後押し

暗号資産のリップル(XRP)が高騰を続け、2年ぶりの高値水準で取引されている。一定の条件を満たしたユーザーがトークンを無償でもらえる、いわゆるエアドロップが来月に予定されており、価格上昇を牽引しているようだ。

リップルは本記事執筆時点で約0.70ドルで取引されており、11月21日の約0.30ドルから2倍以上の上昇となっている。CoinDesk 20によると、24日には0.79ドルを記録し、2018年5月10日以来の高値となった。

リップルの価格推移
リップルの価格推移
出典:TradingView

​価格高騰とともに、チェーン上の動きも活発化している。データサイトのXRPScanによると、XRP Ledgerの新規アカウント開設数は200%以上増加し、この5日間で過去最高の5562アカウントに達した。

イーサリアムに挑む

リップルの価格急騰は、スマートコントラクト・プラットフォームのフレア・ネットワーク(Flare Network)での「スパーク」トークンのリップル保有者へのエアドロップ(配布)が関連しているとアナリストは考えている。

450億のスパークの無料配布は、12月12日時点のリップル保有アドレスに基づいて行われ、リップルの投資部門であるRippleX (かつてのXpring)がサポートする。

「間もなく実施予定のエアドロップがリップルの強気市場に拍車をかけ、コミュニティの心理状態を熱狂に駆り立てている」と​香港に拠点を置くブロックチェーン投資会社ケネティック・キャピタル(Kenetic Capital)のジェハン・チュー(Jehan Chu)氏は語った。

​「リップルのスマートコントラクト・ユーティリティ・プラットフォームとなるフレアの立ち上げが間近に迫まったことで、DeFi(分散型金融)とDapp(分散型アプリケーション)におけるイーサリアムの優位に挑もうとしている」

フレアはイーサリアムの仮想マシンを統合しているため、既存のイーサリアムのDappをフレアに移植し、XRPエコシステムに提供することができる。

韓国のビッサム(Bithumb)やルクセンブルクに拠点を置くビットスタンプ(Bitstamp)をはじめとする、いくつかの主要取引所がトークン配布のサポートを発表している。

資金流入が急増

リップルへの資金流入は、価格上昇とともに急増し、市場での売り圧力の高まりを示している。

リップルの取引所への流入量
リップルの取引所への流入量
出典:Chainalysis

約23億リップル(約10億ドル)が11月21日以降、暗号資産取引所に流入している。ブロックチェーン分析企業のチェイナリシス(Chainalysis)によると、これは2019年の日次流入の平均の3倍以上となる。

投資家は通常、保有している資産を換金したい時に資産を取引所に移し、市場での供給量を増やす。価格が上昇すると予想される時には、資産を自身で保有する。

チェイナリシスのフィリップ・グラッドウェル(Philip Gradwell)氏によると、流入の増加は必ずしも差し迫った売りを意味するわけではない。

​「需要はこれまでのところ堅調で、トレード・インテンシティの中央値は平均値の2倍」とグラッドウェル氏はツイートした。​流入した暗号資産の取引回数を示すトレード・インテンシティの中央値は11月23日に14となり、年間平均の5.8を大きく上回った。

翻訳:新井朝子
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:XRP price for the last week(CoinDesk 20)
原文:XRP Price Surges to 2-Year High as Airdrop Frenzy Builds