5週間で6600万円が4億6000万円に【ビットコインオプション取引のケーススタディ】

5週間で6600万円が4億6000万円に【ビットコインオプション取引のケーススタディ】

ビットコインがピークに向けて上昇していた2017年の終わり頃、数カ月前にスポット市場でビットコインを買い、数十万ドルの利益をあげたトレーダーの話はあちらこちらで聞かれた。

ビットコインを購入するだけで、わずか1、2週間で資金を3、4倍にできたのは過去の話かもしれない。2017年下半期以来、暗号資産(仮想通貨)デリバティブ市場は、大きなリスクを取ることで、ときに莫大な利益をあげることができる場となっている。

実際、強気の見通しを持つ一部のトレーダーは、安価なアウト・オブ・ザ・マネー(権利を行使した場合に損失が出る状態)コールオプションを使って、ロング(買い持ち)ポジションを取ることで、莫大な利益を上げた。はるかに少ないコストで、スポット市場で数倍のビットコインを保有することと同じ収益をあげることができた。しかし、リスクは大きい。

世界最大の暗号資産オプション取引所のデリビット(Deribit)で、5週間前に行われた強気のコールオプション取引の実態を見てみよう。

プレミアムが0.003BTCから0.0145BTCに上昇

10月30日、誰か(単独のトレーダー、あるいは少人数のグループ)は、1月に権利行使日(満期日)を迎えるコールオプションの1万6000契約を、権利行使価格3万6000ドル、1契約につき0.003ビットコインのプレミアム(オプション価格)で購入した。

10月30日のビットコイン・オプション取引
出典 : Deribit
10月30日のビットコイン・オプション取引
出典 : Deribit

総コストは、0.003ビットコイン×1万6000、つまり48ビットコイン。ドル換算では、プレミアムは当時約39.90ドルだったので、約63万8400ドル(約6600万円)となる。

その後、ビットコインが1万3400ドルから1万9000ドル付近まで上昇したため、行使価格3万6000ドルの1月限コールのプレミアムは0.003ビットコインから0.0145ビットコインに急騰。結果、400万ドル(約4億2000万円)を超える名目利益を生み出した。

利益は以下になる。

=[(現在のオプション価格0.0145ビットコイン×1万6000契約)×ビットコインの現在のスポット価格1万9200ドル]− 取引コスト

=[232ビットコイン×1万9200]− 63万8400ドル

= 445万4400ドル – 63万8400ドル

= 381万6000ドル

今、ポジションを清算し、1万6000のコールオプションの売却がスポット価格に影響を与えないと仮定すると、取引所手数料を無視した純利益は初期費用の7倍にのぼる。

オプション取引は原資産の価値に基づいたデリバティブ(金融派生商品)で、権利行使日(満期日)の当日またはそれ以前に、原資産の特定の数量を売買する権利を与えるものだ。ただし義務ではない。プットオプションは売る権利を与える。

利益が出ない契約で利益がでる理由

デリビットのオプション取引は現金決済のため、権利を行使した場合には利益のみが支払われる。1つのオプション契約は1ビットコインを売買する権利を意味する。

現時点で、権利行使価格3万6000ドルのコールは、スポット価格が権利行使価格を下回っているため、本源的価値はない。

理論的には、1月29日に権利行使日を迎える権利行使価格3万6000ドルのコール(買う権利)の購入は、1月末までにビットコイン価格が3万6000ドルを超えて、オプション取引が「イン・ザ・マネー(利益が出る状態)」になることに賭けるものだ。

しかし、市場が上昇するにつれて、アウト・オブ・ザ・マネー・オプションがイン・ザ・マネーになる確率も上昇し、今回のケースで見られるようにオプション価格が上昇する。

強気市場がその価格を維持すれば、他の条件が変わらないとすると、オプション価格(プレミアム)は上昇を続ける。だが、価格の保ち合いが続くと、ビットコインが1月末までに3万6000ドルを超えて上昇する可能性は低くなり、権利行使日が近づくにつれてオプションの価値は小さくなる(オプションの専門用語では「シータ(あるいはセータ)ディケイ」と呼ぶ)。

損失を限定するオプション取引

オプション取引は、単にビットコインを購入するよりもはるかに大きなリスクが伴う。例えば、全財産を失う可能性がある。

ビットコインが権利行使日の1月29日に3万6000ドルを下回っていれば、ロング・コール・ポジションはその日、無価値で権利行使日を迎え、63万8400ドル(トレーダーが支払ったオプション価格)はすべて損失となる。その反面、トレーダーの損失は最大でもオプション価格の範囲に限られ、この場合は63万8400ドルに限定される。

「オプションは、レバレッジの効いた利益を生むための異なる戦略を提供する」と、デリビットのショーン・フェルナンド(Shaun Fernando)氏は述べた。

「この場合は、レバレッジの効いた先物を購入することで、きわめて強気の市場心理が生まれた。そして、かなりのアウト・オブ・ザ・マネー・コールの取引によって、リスクを限定しながら、低リスク・高リターンの戦略を実現した。オプション価格の上昇は、原資産の動きとボラティリティの増加の結果。トレーダーが利益を上げるために、原資産であるビットコインが権利行使価格を超えることは必ずしも必要ではない」

当記事執筆時点、権利行使価格3万6000ドルのコールオプションの建玉(未決済の契約数)は2万以上となっている。これは、単一の権利行使価格の建玉としては最も大きな数字だ。

権利行使価格ごとの建玉
出典:Derbit

ディープ(権利行使価格と市場価格の差が大きい)アウト・オブ・ザ・マネー・オプションの建玉が多くなることは、しばしば強気のサインと捉えられる。しかし、今回のようにデータはときにわずかな大口取引によって歪められることもあり、市場のサインとして信頼性に欠けることもある。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Derbit
原文:How One Bitcoin Options Trader Turned $638K Into $4.4M in 5 Weeks

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