米議会、ゲームストップ株騒動で公聴会

アメリカで人気の投稿サイトを利用する多くの個人トレーダーが、企業の株価に強い影響を与え、ヘッジファンドなどの一部の金融機関に損失をもたらした騒動を巡り、米議会は急きょ公聴会を開く方針を明らかにした。

投稿サイト「reddit」の株取引コミュニティ「WallStreetBets(WSB)」でやりとりされた投稿が、個人トレーダーの個別銘柄に対する投資を促し、株価は25倍に高騰。同株式を空売り(ショート)していたヘッジファンドなどは、数十億ドルもの損失を抱える事態が起きた。

騒動はアメリカの金融界全体を巻き込み、証券取引委員会(SEC)は監視を強めるとコメントを出し、人気の株取引アプリ「ロビンフッド(Robinhood)」は特定の銘柄の取引サービスを一時停止する措置を講じた。

ヘッジファンドの立場

28日午後の時点で、複数の米議会議員が今回の騒動についての公聴会を計画している。下院金融サービス委員会と上院銀行委員会はともに、空売りとオンライン取引プラットフォームについての公聴会を開催すると発表した。開催日時などの詳細は分からない。

下院金融委員会のマキシン・ウォーターズ委員長は、ヘッジファンドには「弁解の余地がないほどの略奪行為の長い歴史がある」とする声明を出している。

「こうした暴力的な行為を取り締まる第一歩として、公聴会を開きたい。ゲームストップ株に加えて、影響を受けた他の企業株をめぐる動きを検証するとともに、空売り取引やオンライン取引プラットフォーム、ゲーミフィケーションなどが資本市場と個人投資家に与えるシステム的な影響に焦点をあてる」

ウォーターズ委員長氏は、ヘッジファンドに対する対処法が不十分だとする考えを示したが、レディットのWallStreetBets(WSB)を利用するユーザーや、多くの株を高騰させた個人投資家についてのコメントはしていない。

規制当局の対応

金融規制当局は、取引や取引停止への対応準備が十分には整っていないのかもしれない。

フォックス・ビジネス(Fox Business)のチャールズ・ガスパリノ(Charles Gasparino)記者によると、SECは、レディットのユーザーがゲームストップや他の企業の株価を操作したかを調査していくと報じた。

証券業界における経験を持つ弁護士は、SECが今回の騒動で対処できる余地はないだろうと、CoinDeskの取材でコメントした。

「ソーシャルメディアにチャットルームを持つことを禁止するのか? これは株価操作ですらない。株価操作とは、少数の関係者による株価を動かすための集中的な取り組み。今回の件はコミュニティ全体の取り組みで、数百人、あるいは数千人が2、3ドルをあちらこちらにつぎ込んでいる」

米CoinDeskは消費者金融保護局(CFPB)、連邦取引委員会(FTC)、証券取引委員会(SEC)に取材を試みたが、コメントは得られていない。

ホワイトハウスのジェン・サキ(Jen Psaki)報道官は28日、バイデン政権がロビンフッドの動きを注視しているのかとの質問に対して、「大統領は経済チームから頻繁にブリーフィングを受けている。これ以上の情報はない」とコメントした。

|翻訳:新井朝子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:US Congress Plans Hearings on GameStop Market Pumps