米ゲームストップ株で市場混乱、空売りトレーダーと株取引コミュニティの攻防──暗号資産市場の反応は

米ゲームストップ株で市場混乱、空売りトレーダーと株取引コミュニティの攻防──暗号資産市場の反応は

米ビデオゲーム販売大手ゲームストップの株価急騰で、空売りしていたヘッジファンドなどの投資家が慌ててポジション解消に動き、株価の上昇モメンタムはさらに強まった。背景に、米掲示板サービス「レディット(Reddit)」の株取引コミュニティを中心とする強気のデイトレーダーの存在がある。

空売りトレーダーの一部は株式を高値で買い戻すことを余儀なくされ、大きな損失を被った。金融界(ウォール・ストリート)からは、株式が「暗号資産のように」取引されることを防ぐべきとする声が聞かれる。

レディット(Reddit)を中心とした株取引コミュニティの動きは、株式相場が高いボラティリティ持つ暗号資産のような動きをする傾向にあると指摘されている。株式ブローカーや金融サービスプロバイダーは、リスクを制限するために取引を遮断すると警告している。

ゲームストップの株価を5日間で900%近く高騰させた要因となったのが、「4chanがブルームバーグ端末を見つけたようなもの」と自称するレディットの株取引コミュニティの「Wall Street Bets(WSB)」だ。

※4chan:アメリカの掲示板サービス。日本の「2ちゃんねる」と同じような匿名の掲示板。

ゲームストップの株価同様に、空売りトレーダーが取引を進めていたブラックベリー(BlackBerry)やAMCエンターテイメント(AMC Entertainment)などの株に対しても、WSBのトレーダーたちは狙いを定め、数週間で100%を超える相場上昇を引き起こしたという。

株価が低迷していたイーストマン・コダック(KODK)でさえ、26日は9.50ドルを下回るレベルで取引を終えていたが、27日に50%近く値を上げ、一時14ドル近くとなった。

空売りとは、持っていない株式を信用取引などを通じて「借りて売る」取引のことで、株価の下落が予想されるときに見られる。株価が一定の水準に下落した際、トレーダーは買い戻して利益を得る。

空売りトレーダーの損失

WSBを中心とするトレーダーの行動は、ゲームストップのショート(売り待ち)ポジションを大規模に保有していたメルビン・キャピタル(Melvin Capital)のようなヘッジファンドに多大な損失を与え、大きな懸念と問題を浮き彫りにした。

メルビン・キャピタルは「巨額の損失」を抱え、ついにポジションを精算したと、CNBCが26日に報じた。WSBは勝利の歓声を上げたが、取引サービス事業者はこの混乱に厳しい姿勢を見せている。

オンライン株取引プラットフォームのTDアメリトレードは、「かつてないほどの取引ボリュームが(高ボラティリティをもたらし)アクセス制限を引き起こしている可能性がある」とツイートした後、「当社と顧客のリスクを軽減するため」としてゲームストップやAMCエンターテイメントなどの株式の取引を制限した。

米ナスダックのアデナ・フリードマン(Adena Friedman)CEOは、ソーシャルメディアでのやりとりを積極的に監視しており、その内容が「株式の異常な動き」と一致した際は、取引を停止するとCNBCに語った。

ブルームバーグは、大手金融機関のウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo)もゲームストップのような空売りが想定される株式をアドバイザーが推奨することを禁止したと伝えた。

規制当局も注視

政府関係者や規制当局も今回の動きを注視している。

バイデン政権の経済チームもまた27日に、ゲームストップの状況を「注視している」とホワイトハウスのジェン・サキ(Jen Psaki)報道官を通じて報道陣にコメントした。

米証券取引委員会(SEC)も同日に声明を出し、「オプション市場と株式市場で起きているボラティリティを認識し、積極的に監視している」と述べた。

WSBのメンバーが使用していたソーシャルメディア・アカウントは閉鎖、もしくは利用が制限されている。メッセージングサービスのDiscordは27日、表向きはヘイトスピーチを理由に同グループのサーバーを停止したが、ニュースメディア「The Verge」によると、サーバー管理者に対して「過去数カ月の間に」複数回の警告を行ったと述べているという。

WSBの活動拠点であるレディットのサブレディット(ユーザーが管理・運営するコミュニティ)「r/wallstreetbets」は、ほぼ同じタイミングで公開制から招待制に変更されたが、レディットの広報担当者は米CoinDeskの取材に対して、同社が変更したわけではないと語った。WSBの管理者が行ったと広報担当者は述べた。

暗号資産市場のリアクション

しかし、WSBの名前を使った新しい公開サブレッドディットがまもなく開設され、メッセージングサービスのテレグラム(Telegram)にはWSBから分裂したと自称するグループが作られた。外部からの圧力にもかかわらず、コミュニティを再編成しようとする動きがすでに始まっている。

暗号資産投資家は、制限したり、取り締まることができない取引サービスや金融サービスの普遍的なユースケースになる可能性があるとして、今回の動きを注目している。

ギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)のマイク・ノボグラッツ(Mike Novogratz)CEOは、WSBの動きはDeFi(分散型金融)にとって「きわめて大きな後押し」となるとツイートした。しかし、WSBのトレーダーが暗号資産やDeFiに興味を示すかどうかはわからない。

Interactive Brokersのチーフストラテジスト、スティーブ・ソスニック(Steve Sosnick)氏は、空売りトレーダーは一般的に「勇気と慎重な調査」によって利益を得る「好奇心旺盛な集団」と述べた。しかし、WSBのような事例が続くと、「多くの」空売りトレーダーはすぐに「損失を出すことになる」と警告した。

「空売りトレーダーを狙った投資家の津波には誰も耐えられない」とソスニック氏は述べた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:Wall Street, Big Tech Clamp Down on GameStop-Style Pumps; Biden Admin ‘Monitoring’ Situation

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