ビットコイン、企業財務への活用は進んでいくか

ビットコイン、企業財務への活用は進んでいくか

さまざまなかたちでデジタル資産に取り組む大企業が増えている。

最も象徴的な事例は、蓄えてきた現金でビットコイン(BTC)を購入し続けているデータ管理・分析サービスの米マイクロストラテジー(MicroStrategy)。同社のマイケル・セイラー(Michael Saylor)CEOは、法定通貨の価値が低下するリスクに備えるべきだと主張している。

2月第1週に行われたマイクロストラテジー主催のイベントでは、カストディ事業者やウォレットについての基礎知識を紹介するガイドブックが用意された。米決済サービスのスクエア(Square) も10月に同様のガイドブックを発行している。

冷静に考えると、一般的な企業財務とビットコインは相容れないものとされてきた。数年前までは考えられないことだ。

企業担当者は検討を始めるべき

こうした主張を行っているのはマイクロストラテジーだけではない。

1月末、企業財務責任者協会(Association of Corporate Treasurers: ACT)が主催したイベントでは、ロンドンに拠点を置く暗号資産カストディ事業者のコッパー(Copper)が家具大手のイケア(IKEA)の財務担当者と議論を行った。

ACTのナレシュ・アガルワル(Naresh Aggarwal)氏は、たとえビットコインを企業財務に採用するということが、まだ多くの人にとっては現実離れしたものだとしても、企業の財務担当者は検討を始めるべきと語った。

「これまでのスキルと経験から、ほとんどの財務担当者は、投資については、安全性や流動性、利回りを考慮することに慣れている。最終的に、取締役会がビットコイン市場に参入したいと判断した場合、それは会社のリスク許容度に基づいて選択されるべきであり、もちろん財務担当者が情報を提供することになる」とアガルワル氏はCoinDeskの取材で自身の考えを述べた。

同氏は、暗号資産はインフレに対するヘッジになるかどうかの議論は興味深いとしながらも、イギリスのような国はインフレを招くような状況にないと指摘した。

「ほとんどのG20諸国は高いインフレを経験しておらず、イギリスの最近のインフレ率は0.8%程度だったと思う。インフレ率が8%や9%だった時代にすぐに戻ることはないだろう。例えば、ベネズエラなら状況は大きく異なる」

企業の財務担当者はセイラー氏が率いるマイクロストラテジーが、現金をビットコインに変えたことを興味深く見守っている。そして、多くの担当者たちは、暗号資産を使った決済や資産運用が不可避であることを理解している。米通貨監督庁(OCC)が昨年出した勧告は、この認識を後押しするものだった。

マイクロストラテジーのビットコイン保有高
出典:CoinDesk Research, FactSet

企業財務のための管理ツール

プライスウォーターハウスクーパース(PwC)、IBM、BTC.comの元幹部らが率いるスタートアップ企業、Ledgermaticは2月第1週、完璧なタイミングで登場した。同社は、将来のデジタル資産経済を見据えた、さまざまな企業財務管理ツールを提供している。

同社CEOのルーク・スリー(Luke Sully)氏は、マイクロストラテジーのセイラー氏、スクエア(Square)のジャック・ドーシー(Jack Dorsey)氏のような人物が、企業財務に暗号資産を活用したパイオニアとして認識されるだろうと語った。

「彼らの事例は、ビットコインを企業財務に活用するための興味深いテストケースになるだろう。彼らのアプローチは長期的なもので、短期的利益を求めてはいないようだ。最高財務責任者(CFO)と財務チームは、このことが提起する問題と、ビットコインをいかに管理し、その価格ボラティリティ・リスクを抑えながら利益を得るかについて注視し、頭を悩ませることになるだろう」(スリー氏)

企業は、投資ファンドとは異なる方法で暗号資産を計上する必要があり、ほとんどのCFOや財務チームは、デジタル資産を管理できるツールを持っていないと同氏は指摘した。

「バランスシートに暗号資産を加えようと考えている人たちのために、我々はツールを用意している」(スリー氏)

コアビジネスの成功要因

スクエアはもともとフィンテック系の決済企業であり、マイクロストラテジーはソフトウェア企業であることは指摘しておくべきだろう。

イケアグループのデジタル財務責任者、マイケル・アンダール(Michael Aandahl)氏は、デジタル資産への取り組みを進める「先行者」のコアビジネスがそもそも暗号資産に近いケースが多いと述べた。

「コアビジネスから離れていれば、『本当にやるべきか?』という疑問の声が多くなることは想像できるだろう。今重要なことは、一部の企業はすでに始めているということだと思う。彼らは暗号資産を企業財務に活用することは、自社のコアビジネスの成功要因になると考えている」(アンダール氏)

|翻訳:新井朝子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Roman Synkevych/Unsplash
|原文:Corporate Treasuries Are Figuring Out Bitcoin on the Balance Sheet

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