日本にも、ソラナ(SOL)トレジャリー戦略を掲げる企業が登場する。
東京グロース市場上場のモブキャストホールディングスは10月3日、新たな事業として「ソラナ・トレジャリー事業」を開始すると発表した。リリースには、「本事業は、当社の財務基盤を戦略的に強化し、株主価値の最大化と上場維持基準の達成を力強く目指すもの」とある。
米国でのストラテジー、国内でのメタプラネットの取り組みを受けて、米国はもとより、国内でもビットコイン(BTC)トレジャリー戦略を打ち出す企業が増えている。そのなかで、モブキャストはソラナ・トレジャリー戦略を掲げた。
DAT戦略と上場維持基準
こうした企業は「デジタル資産トレジャリー企業」(DATCO、またはDAT企業)と呼ばれる。多くの場合、「成長戦略」や「株主価値の拡大」をその目的に掲げているが、モブキャストは「上場維持基準の達成」を明確に打ち出している。
東京証券取引所が上場基準の見直しを進めたことで、時価総額の小さな上場企業にとっては、株価対策が喫緊の課題となっている。市場では、DAT戦略はそのための“手っ取り早い手段”になっているとの声もある。
同社はリリースで、「将来的には主力事業である「ソーシャル・エンターテイメント&メディア事業」と連携させ、当社が目指す「社会貢献」と「企業成長」の好循環を加速させることによる更なる成長可能性も追求してまいります」と述べている。
新株予約権と社債で約14億円を調達予定
モブキャストは同日、資金調達スキームについても発表した。第36回・第37回・第38回新株予約権および第2回無担保普通社債の発行を決議し、総額約14億円を調達する予定だ。割当予定先は、EVO FUNDと同社代表取締役CEOの藪考樹氏となっている。
同社の前身である株式会社モブキャストは2004年創業。2010年代初めには「モバプロ」「モバサカ」などの人気ソーシャルゲームを送り出した。その後、競争が激化するなかで事業を多角化。2018年に持株会社体制に移行している。現在は「クリエイター共創経営」を打ち出し、子会社には、料理家の栗原はるみ氏・栗原心平氏のコンテンツを展開する株式会社ゆとりの空間などがある。
2025年12月期第2四半期(累計)の売上高は14億円強、営業利益はマイナス1.6億円。時価総額は約27億円となっている。
|文:増田隆幸
|画像:リリースより


