- イギリスの金融行動監視機構(FCA)は禁止措置を解除し、個人投資家が初めて暗号資産ETNを購入できるようにした。
- ETNは上場取引型投資商品(ETP)の一種で、ETFもETPに含まれる。
- イギリス政府は暗号資産ETNが個人貯蓄口座(ISA)や年金口座で非課税で保有できると認めた。
- IGやAJベルなどの主要なISAプロバイダーがこれらの商品へのアクセスを提供するまでには時間がかかる可能性がある。
イギリスは個人投資家向けの暗号資産(仮想通貨)ETN(上場投資証券)に対する複数年にわたる禁止措置を正式に解除した。暗号資産市場は規制対象商品を通じた個人投資が可能となるまでに成熟したと表明した。ただし投資家がポートフォリオに組み入れるには少し待つ必要がある。
金融行動監視機構(FCA)は10月9日の政策アップデートで、個人投資家がロンドン証券取引所などFCAが認可する取引所に上場された暗号資産ETNを購入できるようになると認めた。
暗号資産ETNは、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)の価格を追跡する上場投資証券であり、投資家に直接的なコインの所有権を与えない。上場投資信託(ETF)も含む上場取引型金融商品(ETP)の範疇に属する。
世界のETNは通常、物理的な裏付けを必要としないが、ロンドン証券取引所では、暗号資産ETNは規制対象のカストディアンが保有する原資産によって完全に裏付けられ、レバレッジを使用できない。
禁止措置は10月9日に正式に解除されたが、個人投資家が暗号資産ETNをポートフォリオに追加できるようになるまでには時間がかかる見込みだ。報道によれば、これはFCAが新規商品の目論見書の受理を9月25日に開始したためだという。
暗号資産ETNの個人貯蓄口座・年金口座での運用
イギリス税務当局(HM Revenue & Customs)は9日に公表した政策文書で、暗号資産ETNを株式型個人貯蓄口座(ISA)及び登録年金口座で保有可能と表明した。これにより投資家は当該口座内で非課税の収益を得られる。
2026年4月6日以降、暗号資産ETNは革新的金融ISA(IFISA)投資商品に再分類されるが、税制上の優遇措置は維持される。当局は、この変更は、長期貯蓄オプションの多様化と、デジタル金融を主流の投資構造に統合するという政府のコミットメントを反映していると説明した。
ロンドン証券取引所はすでに暗号資産ETNを上場
ロンドン証券取引所ではすでに、21シェアーズ(21Shares)、ウィズダムツリー(WisdomTree)、ETCグループ(ETC Group)などの発行体による複数の暗号資産ETNが上場されている。これらは従来、プロの投資家のみが利用可能だったが、規制対象プラットフォームを通じて個人投資家もアクセスできるようになった。
ただし、ブラックロック(BlackRock)のIBITなどアメリカで上場されている人気の現物ETFは、イギリス以外の取引所でドル建てで取引されており、FCAの規則では認められていないため、依然として対象外となっている。
IG、AJベル(AJ Bell)、ハーグリーブス・ランズタウン(Hargreaves Lansdown)などの主要なISAプロバイダーは、プラットフォーム上で暗号資産ETNを有効化する前にポリシーの見直しを行う見込みだ。プロバイダーがコンプライアンスシステムや保管体制を適応させるため、展開は段階的に進むと予想されている。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:UK Lifts Retail Ban on Crypto ETNs, Paving Way for Investments From Pensions, ISAs


