- 投資家の関心がビットコインからアルトコイン、DeFi、トークン化資産へと移る中、イーサリアムが暗号資産市場の第3四半期の上昇を牽引した。
- 暗号資産市場の時価総額は5000億ドル(約75兆5000億円、1ドル151円換算)超増加し、2四半期連続の成長を記録したが、その大部分においてビットコインは牽引役とはならなかった。
- イーサリアムがその立場を強固なものにし、新たなオンチェーン金融商品が注目を集めるなど、投資家の関心の幅広い転換をCoinGeckoのレポートは浮き彫りにしている。
CoinCeckoのレポートによると、第3四半期の暗号資産(仮想通貨)市場の回復においてイーサリアム(ETH)が先頭を走り、資産がアルトコイン、DeFiプロトコル、新たな波となったトークン化資産に流入する中、ビットコイン(BTC)は後れを取った。
市場全体の時価総額は5000億ドル(約75兆5000億円)超増加し、2四半期連続で大幅な成長を記録したが、今回はビットコインが牽引役ではなかった。代わりに投資家は、勢いを促進するためにイーサリアムやその他の大型トークンに注目したことが、CoinCeckoのレポートで明らかになった。
7月初旬には、ビットコインが再び市場を牽引するかに見えた。ビットコイン価格は、個人投資家の関心と現物ETF(上場投資信託)を通じた機関投資家からの資金流入に支えられ、四半期初めに史上最高値を記録した。
だが、9月になるとナラティブは一変した。ビットコインが冷え込む一方で、イーサリアムに火がついた。
ETF需要、トークン化された現実資産への関心の高まり、企業トレジャリーからの新たな注目が相まって、イーサリアムは新たな史上最高値を更新した後、落ち着いた。
この関心の移行が第3四半期を特徴づけるトレンドの一つだったと、CoinGeckoのアナリストらは書いている。
新たな資金の流れ
取引活動は2四半期連続で減少していたが、力強く反発した。中央集権型と分散型取引所の両方で現物取引量が急増。だが、重要なのは取引量そのものではなく、その取引がどこに向かっているかだ。
長らくマイナーと見なされてきたミームコインが劇的な復活を遂げ、ミームコア(M)などのトークンがランキングを駆け上がった。USDeのようなステーブルコインがその立場を強固なものにし、知名度の低いアルトコインも時価総額上位30位に入った。レポートによると、2024年後半に脚光を浴びなくなっていたDeFiは、イーサリアムの上昇に伴いレンディングやステーキングプロトコルの預かり資産(TVL)が増加したことで、復活を果たした。
投資家の関心の変化
舞台裏では、構造的な変化が起こりつつあった。
暗号資産市場全体に占めるビットコインのシェアは低下し、投資家の関心が他のナラティブに移った兆候を示している。イーサリアムはその立場を強固なものにしたが、過去数年間突破に苦労していたカテゴリー、特にトークン化された資産なども勢いを増した。
新世代のオンチェーン株式および債券が定着し始め、オンド・ファイナンス(Ondo Finance)やバックド・ファイナンス(Backed Finance)のようなプロトコルは、伝統的金融と分散型金融の橋渡しを求める投資家の間で注目を集めた。
ビットコインは従来の市場との連動制も弱まった。ビットコインの価格変動は、1年以上ぶりにS&P500との連動性を失った。レポートは、これをポジティブなものとして解釈できるとし、暗号資産がより独立した資産クラスになりつつある証拠だと述べた。だが、これは投資家の関心が分散していることも反映していると、レポートは記している。
マイニングセクターでさえ、この変化する動向を反映していた。ビットコインのハッシュレートは過去最高を記録し、マイナーに特化したETFは高いリターンを記録した。
だが、注目は別のところにあった。新興トークン、イーサリアムの勢い、DeFiの復活が焦点だったとレポートは指摘した。
|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:イーサリアムは2025年第3四半期を4215ドルで終え、四半期内で68.5%上昇(CoinGecko)
|原文:‘Ether Caught Fire’: ETH Surged as Capital Fled Bitcoin in Q3, CoinGecko Report Finds


