- テザー社は、ドイツのAI搭載ロボットのスタートアップ企業であるニューラ・ロボティクスに対する10億ユーロの資金調達ラウンドを主導する交渉を進めている。評価額は80億~100億ユーロ。
- ニューラ・ロボティクスは2030年までに500万台のロボット生産を目指しており、すでに10億ユーロの受注を獲得している。
- この投資は、拡大中のテザー社のポートフォリオの一環であり、ヒューマノイドロボットへの関心が高まる状況で行われる。テスラ、エヌビディア、ソフトバンクなどの企業がAI技術を物理マシンに組み込むことを目指して競争している。
ステーブルコイン大手のテザー(Tether)は、AI搭載ヒューマノイドロボットを開発するドイツのスタートアップ企業ニューラ・ロボティクス(Neura Robotics)に対する10億ユーロ(約1800億円、1ユーロ180円換算)の資金調達ラウンドを主導するための交渉を進めている。
フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)紙は協議に詳しい関係者の話として、取引が成立すればニューラの評価額は80億~100億ユーロになるだろうと報じた。完了すれば、ニューラが1月に1億2000万ユーロ(約216億円)を調達した前回のラウンドから投資額が大幅に増加することになる。
テザー社はフィナンシャル・タイムズ紙に対してこの協議について認めなかったものの、「最先端技術への投資を継続するための様々な機会を積極的に模索している」と述べた。
ニューラの主力製品は産業用途向けに設計されたヒューマノイドロボットで、家庭環境への拡大も計画している。同社は2030年までに500万台のロボットを生産することを目指すと公言しており、ロボット工学において「iPhoneモーメント」と呼ばれる主流の躍進をもたらす可能性のあるものとして自社製品を位置付けている。1月の声明によると、既に10億ユーロの受注を獲得している。
拡大中のテザー社の投資ポートフォリオには、農業や脳科学技術、スポーツ分野の企業が含まれる。同社は、多額の米国債保有を含むステーブルコイン事業から得た準備金を投資しており、年初からの9カ月で100億ドル(約1兆5000億円)の利益を上げた。
テザー社はビットコイン(BTC)準備金に加えて数十億ドル相当の金も保有している。最近では、動画共有プラットフォーム「ランブル(Rumble)」への投資を増やしている。また、これまでに5000億ドル(約75兆円)の評価額での資金調達検討も報じられていた。
エヌビディア(NVIDIA)、テスラ(Tesla)、ソフトバンクなどの企業が生成AIを物理マシンに適用しようと競争する中、ヒューマノイドロボットへの関心が急激に高まっている。
テスラは2030年までにロボットのオプティマス(Optimus)を100万台生産することを目標としている。1X、フィギュアAI(Figure AI)、ザ・ボット・カンパニー(The Bot Company)といったスタートアップ企業も、エヌビディアのCEOが最近「数兆ドル規模のチャンス」と表現した市場のシェアをめぐり、競争を繰り広げている。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Shutterstock
|原文:Tether Eyes $1B Investment in German Robotics Startup Neura: FT


