日銀副総裁「日本では中銀デジタル通貨の必要性高まっていない」

日本銀行の雨宮正佳副総裁は2月27日、都内で行った講演で中央銀行デジタル通貨(CBDC)について、現金流通高が増加しており「CBDC発行の必要性が高まっているわけではない」と改めて指摘した。一方で民間マネーを橋渡しできるメリットにも触れ、日銀決済機構局内に研究チームを設けると発表した。

CBDCの議論が進む外国の3類型とは

雨宮副総裁は日銀主催の 「決済の未来フォーラム」で「中銀デジタル通貨と決済システムの将来像」と題して話し、CBDCの議論が進んでいる海外の状況を3類型に分けて紹介した。

1つ目の類型としてスウェーデンについて言及。現金流通高がGDPの2%を割り込んでいるため、現金を受け入れる小売店が減少しており、銀行口座をもたない人が買い物できない場合もあるほどだと説明した。

次の類型として挙げたのは、カンボジアやバハマなどの新興国。こうした国・地域では、決済インフラが未整備である一方で、スマートフォンが普及しているため、最新の技術を導入しやすいと指摘した。

最後に中国については、流通現金の代替を目的とし、現金の流通コスト削減以外にも偽造リスクやマネーロンダリング・リスクの低減などを見込んでいるとした。

これらCBDCの議論が進んでいる国・地域の3類型と、日本や欧米の先進国とは状況が異なり、不正対策には規制・監督で対応するため、「CBDC発行の必要性が高まっているわけではない」と指摘した。

決済事業者間の送金が容易になるメリットはあるが、設計次第では民業圧迫に

一方で、CBDCのメリットについても触れた。個人間送金が容易になることから、多様化する民間の決済事業者間の「橋渡し」ができると述べたが、CBDCの設計次第では、店舗側は民間マネーよりもCBDCを選ぶだろうとし、「民間企業を圧迫しかねない」との懸念を示した。

さらにCBDCの懸念点として、民間銀行の金融仲介機能も損いかねないとした。また、決済情報が中銀に集約されることの是非や、その情報を活用するには、どのような設計が望ましいかは議論の必要性を認めた。

その上で、中銀マネーと民間マネーの相互関係を念頭に「決済システム全体の機能向上を検討することが重要だ」とし、決済機構局内にCBDCの研究チームを設ける方針を明らかにした。

文:小西雄志
編集:濱田 優
写真:Shutterstock