FRB議長:「最初である必要性は感じない」、CBDCについて発言

アメリカは中央銀行デジタル通貨(CBDC)がドル覇権に及ぼすリスクを考え、CBDCの研究開発に対する動きを弱めている可能性がある。

ジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は14日、プリンストン大学主催のオンラインイベントに登壇し、CBDCについて「最初であるという衝動や必要性は感じない。(米ドルは)基軸通貨であるため、事実上、我々はすでに先行者利益を得ている」と語った。

パウエル議長は、ボストン連邦準備銀行がCBDC、いわゆる「デジタルドル」の基盤技術となるブロックチェーンの研究を進めているにもかかわらず、FRBがCBDCを発行するまでには「数カ月ではなく数年」必要になるとコメントした。

FRBがブロックチェーン技術を理解し、CBDCの政策上の問題を検討することに「多額の投資を行う」と、パウエル議長は述べた。

また、FRBがCBDCの検討を始めたきっかけは、民間企業による民間マネー(つまり、ビットコインなど)の発行能力にあると加えた。

「過去に民間マネーが作られた時、一般的には単なるマネーとしか思われていなかった。だがある時点で、多くの人はそれはマネーではなく、我々が避けなければならない本当に悪いものだと気づいた」(パウエル議長)

またパウエル議長は、FRBはグローバル・ステーブルコインに対する「規制における優れた回答」に注力する必要があると指摘。2020年末、トランプ大統領の金融市場に関する作業部会は、ステーブルコインは金融システムの他の側面と同じ規制基準を満たすべきとするレポートを発表している。

「一夜にしてシステム的に重要なものになるかもしれない。我々は、潜在的なリスク、そしてリスクをどのように管理するかについて、まだ十分に議論できていない。国民は我々がそうすることを期待するだろうし、それを期待する権利がある。それは我々が他国の中央銀行とともに取り組んでいることだ」とパウエル議長は語った。

|翻訳:新井朝子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:ジェローム・パウエルFRB議長(CoinDesk archives)
|原文 Jerome Powell on CBDCs: ‘We Don’t Feel a Need to Be First’