FXの始め方――口座開設の3ステップとFX会社の選び方

FX取引を始めるには、FX会社の口座開設が必要となる。また、口座を1社に絞る必要はなく、複数社で口座開設し、得られるサービスや投資スタンスによって使い分ける個人投資家は多い。基本的にFX各社の口座開設や維持は無料なため、複数社で口座開設して自分に合った会社に絞っていくのが得策だ。

口座開設は、どのFX会社も概ね同じで、3つのステップがある。

  1. 申し込みフォーム入力
  2. 本人確認書類提出
  3. パスワード、ID受け取り

本人確認書類の提出まではインターネット上で完結し、所要時間は15分程度だ。

1. 申し込みフォーム入力

申し込みフォームには、氏名、住所や生年月日はもちろん、職業や年収、投資目的、金融資産などについて入力する。

入力内容はFX会社によって審査され、承認されれば口座開設できる。FX会社の審査はローンなどの借入とは異なり、信用情報は関係ない。そのため、カードローンや自動車ローン、住宅ローンなど複数の借入があっても口座開設は可能だ。

審査基準については、開示しているFX会社もある。たとえば、矢野経済研究所が2019年1月に発表した月間取引高ランキング上位5社の内、GMOクリック証券、ワイジェイFX、ヒロセ通商が基準を公開している。

審査基準はどの会社も似通っているが、上記ではGMOクリック証券のみ金融資産に言及しており、100万円以上の金融資産があることを求められている。なお申し込みフォームの入力内容は自己申告で、基本的にFX会社が実際に金融資産について調査することはない。

また年齢については、上記3社全てが20歳以上という条件を設けているが、SBI FXトレードと外為どっとコムは20歳未満でも18歳以上で親権者の同意があれば口座開設が可能だ。

2. 本人確認書類提出

提出書類として認められるもの

口座開設に必要な書類は、本人確認書類とマイナンバー記載書類の二種類だ。それぞれに提出を認められる書類が定められているので、確認しよう。

本人確認書類として認められるもの(顔写真付き)

  • マイナンバーカード
  • 運転免許証
  • パスポート
  • 在留カード

マイナンバー記載書類として認められるもの(顔写真なし)

  • マイナンバー通知カード
  • 住民票の写し(マイナンバー記載あり)

その他確認書類として認められるもの

  • 光熱費等公共料金領収書
  • 納税通知書等

提出書類の組み合わせ

提出書類は、以下のケース別で組み合わせが異なる。

ケース1:顔写真付きマイナンバーカードがある
マイナンバーカード裏表両面の提出でOKだ。

ケース2:顔写真付き本人確認書類がある
顔写真付き本人確認書類とマイナンバー記載書類を一点ずつ提出しよう。

ケース3:顔写真付き本人確認書類がない
マイナンバー記載書類に加え、健康保険証や公共料金の領収書、公的機関から発行された住所が確認できる書類二点を揃えて提出。つまり合計三点の提出が必要だ。

提出する書類は全て有効期限内である必要がある。有効期限がない書類に関しては、発行から3ヶ月以内のものを用意しよう。

オンラインで完結する本人確認(eKYC)

提出は、全てスマートフォンで撮影しオンラインで行う方法(eKYC = electronic Know Your Customer)が最も早い。書類と一緒に自分を撮影した写真を提出することで本人確認が完了し、郵送物のやり取りがない。スマートフォンが無かったりネットでのアップロードが心配な方は、メールや郵送で提出する方法もあるので、やりやすい方法を選択しよう。

なお、書類を撮影する際は全体が切れずに鮮明に写っていること、加工されていないことに気を付けたい。

これで申し込みが終了し、審査が始まるが、所要期間はFX会社によって異なる。eKYCを導入しているFX会社なら、最短即日で審査が完了し取引に進められる。特にDMM FXは最短で1時間としており、非常にスピーディーだ。一方、eKYCを導入していないFX会社だと、審査完了・取引開始まで数日かかることが多い。

2020年10月現在、eKYCを導入しているFX会社は、以下の通りだ。

  • DMM FX
  • GMOクリック証券 (FX ネオ)
  • JFX
  • LINE FX
  • OANDA Japan
  • 外為どっとコム
  • 外為ファイネスト
  • ヒロセ通商(LION FX)
  • マネックス証券
  • みんなのFX
  • ワイジェイFX(YJFX!)

3. パスワード、ID受け取り

審査に通り、口座開設が完了すると、その旨が登録メールアドレスに送られ、取引に必要なアカウントのパスワードやIDが手元に届く。

以前は本人確認を兼ねて簡易書留でパスワードとIDが郵送されたが、eKYCを導入している会社は本人確認までオンラインで完了させ、パスワードとIDもメールで送付することが可能なため、郵送でのやり取りが必要ない。全ての手続きをオンラインで完結したいのならば、eKYCによる本人確認は必須だ。

FX口座開設にあたり、キャンペーンを活用しよう

FX各社では新規口座開設に伴って、定期的に以下のようなキャンペーンを行っている。タイミングがよければ、よりお得に取引を始めることもできる。

FX会社名キャンペーン内容
外為オンライン最大150,000円のキャッシュバック
外為どっとコム最大103,000円のキャッシュバック
みんなのFX最大50,000円のキャッシュバック
SBI FXトレード最大30,000円のキャッシュバック
GMOクリック証券最大30,000円のキャッシュバック
YJFX!最大27,000円のキャッシュバック
DMM FX20,000円のキャッシュバック
                                   (2020年10月現在)

口座開設するFX会社の選び方――初心者が見るべきFX口座の5つのポイント

口座開設するFX会社はどのように選べばよいだろうか。初心者が口座を開設する場合、5つのポイントをチェックしてほしい。

①小口取引ができるかどうか 1通貨単位~1,000通貨単位がおすすめ

FX会社は最低取引単位を定めている。最低取引単位未満の取引はできないため、少ない金額で取引を始めたい場合、最低取引単位が小さいFX会社を選ぶべきだ。

FX会社の多くは最低取引単位を1万通貨か1,000通貨としている。米ドルだとすると、1万通貨単位は1万米ドルから、1,000通貨単位なら1,000米ドルから取引できる。中には1通貨単位の取引ができるFX会社もある。当然最低取引単位が小さい方が小口の取引ができ、初心者にとっては始めやすいだろう。

なお、FXでは「レバレッジ」を活用できるので、取引金額の全額を自己資金で用意する必要はない。レバレッジとは自己資金の何倍までの取引が可能かを示すもので、特に指定されていない限り25倍までの取引が可能だ。つまり、取引金額の4%を自己資金で用意すればよい。取引金額に対して必要な自己資金を「必要証拠金」という。

例えば1米ドル=100円のとき1万米ドルの新規ポジションを建てる場合、取引金額は100万円だが、必要証拠金は4万円だ。新規ポジションが1,000米ドルなら必要証拠金は4,000円で、1米ドルなら4円だ。

②ロスカット基準 100%なら追証(おいしょう)の可能性がない

「ロスカット」は、保有ポジションの評価損失が一定以上に膨らんだ場合、FX会社がポジションを強制的に決済してしまう処置だ。評価損の状態で決済するため、損失が確定する。

ロスカットの基準は一般的に「証拠金維持率」で判断される。証拠金維持率とは「自己資金÷必要証拠金×100%」で計算され、必要証拠金に対して自己資金がどの程度あるかを示す数値だ。必要証拠金が4万円で自己資金が20万円あるなら、証拠金維持率は500%だ。

証拠金維持率の計算で用いられる自己資金は、保有ポジションの損益が加味される。つまり、保有ポジションが評価損を抱えているなら、決済していなくても自己資金は少なく見積もられる。評価損が大きくなればなるほど証拠金維持率が減少していく。

例えば1米ドル=100円のときに新規買いポジションを1万米ドル分建てるとする。必要証拠金は4万円だ。自己資金が20万円なら証拠金維持率は500%だ。1米ドル=95円まで下落し評価損失が5万円発生した場合、証拠金維持率は375%まで減少する。その後、1米ドル=84円まで下落すると証拠金維持率が100%になる。

 必要証拠金評価損失自己資金証拠金維持率
①1米ドル=100円で  1万米ドルの買い4万円020万円500%
②1米ドル=95円まで 下落4万円▲5万円15万円375%
③1米ドル=84円まで 下落4万円▲16万円4万円100%

証拠金維持率が100%未満まで低下すると「追証(おいしょう。追加証拠金)」が求められる。証拠金維持率が常に100%を超えるよう、法令で定められているためだ。

例えば上記の例で1米ドル=82円まで下落したとする。必要証拠金4万円に対し自己資金が2万円まで下落するため、証拠金維持率は50%だ。証拠金維持率100%を回復するには差額の2万円を「追証」としてFX会社へ差し入れなければならない。

 必要証拠金評価損失自己資金証拠金維持率
①1米ドル=82円まで  下落4万円▲18万円2万円50%
②追証として 2万円差し入れ4万円▲18万円4万円100%

追証を差し入れてもポジションの数量や評価損失は変わらない。入金だけが必要になることから負担感が大きい。そこで、ロスカット基準が重要になってくる。証拠金維持率100%時点でロスカットされるFX会社の場合、証拠金維持率が100%未満になる前にポジションを解消するため、理論上追証が発生しない。

なお、ロスカットに関係なく、証拠金維持率が100%未満になっても、必要証拠金が少なくなるようポジションを解消すれば追証は発生しない。しかし、初心者にその判断はハードルが高いだろう。 投資初心者の場合、証拠金維持率100%時点でロスカットが行われるFX会社を選んでおく方が無難だろう。もちろん、普段から資金管理も大切だ。

③取引コスト できるだけ低いFX口座を選ぶ

FX取引のコストは主に「スプレッド」と呼ばれる、「買いと売りのレート差」だ。同じ時点では、売りレートよりも買いレートの方が必ず高くなっている。つまり、「高く買い、安く売る」状態だ。スプレッドはFX会社によって異なり、スプレッドが小さいほど低コストで取引できる。参考に、スプレッドごとの取引コストを以下にまとめた。

スプレッド買いレート売りレート1万通貨のコスト
10銭 (0.1円)100円99.9円1,000円
2銭 (0.02円)100円99.98円200円
0.2銭 (0.002円)100円99.998円20円

FX会社の多くはスプレッドを原則固定し、HPで公開している。口座開設の参考にしてほしい。

注意したいのは、スプレッドの固定はあくまで“原則”のため、「タイミングによってはスプレッドが上昇する可能性がある」という点だ。相場の急変時や取引量が少ない時間帯ではスプレッドが拡大しやすい。

ただ、スプレッド拡大の可能性はどのFX会社にもある。FX各社が公開しているスプレッドを、そのまま口座開設の参考にしても問題ないだろう。

より厳密にFX会社のスプレッドを比較したい場合、「スプレッド提示率」も併せて確認するとよいかもしれない。全体の取引に対し、通常のスプレッドでレートを提示できた割合を示したものだ。提示率が100%に近いほど、スプレッドを固定できている証左になる。

スプレッドの提示率はあくまで過去の実績だ。将来の提示率を保証していない点には注意したい。

④通貨ペアの多さ 取引できる通貨の選択肢は多い方がよい

FX取引は、「米ドル/円」「ユーロ/米ドル」のように、2つの通貨を組み合わせた1つの「通貨ペア」が取引対象だ。その通貨ペアを買う場合、「分子の通貨を買い、分母の通貨を売る」という取引になる。

取引できる通貨ペアはFX会社によって異なる。基本的には通貨ペアの数が多い方が有利だ。通貨ペアの数が多いほど取引のチャンスは増える。

初心者の場合、対円通貨ペアの多さを重視してもよいだろう。通貨ペアのレートは「分子の1通貨=分母の通貨」で提示される。例えば「米ドル/円」の場合、レートは「1米ドル=○○円」と表示される。レートが日本円で表示されるので、初心者でも価格のイメージが付きやすい。

選択肢の多さを考えれば、外貨同士の通貨ペアにも取り組んだ方がよいだろう。初心者は、外貨同士の通貨ペアは将来の目標に入れ、最初は対円通貨ペアで経験を積んではいかがだろうか。

⑤スワップポイントの多寡 過去の実績を確認し、条件のよいFX会社を選択

FXでは「高金利通貨/低金利通貨」の通貨ペアを買うと、「スワップポイント」として金利相当を受け取れる。逆に売るとスワップポイント分がマイナスになるので注意が必要だ。

スワップポイントは通貨ペアごとに違うのはもちろんだが、FX会社によっても異なる。スワップポイントの獲得を狙う場合、できるだけスワップポイントが高いFX会社を選ぶべきだ。FX会社はスワップポイントの実績を公開している場合があるので、口座開設の参考にしたい。

なお、スワップポイントは1日あたりの金利差で計算されるため毎日受け取れるが、同じFX会社でも日によって異なる可能性がある。通貨の金利が日々変動しているためだ。相場環境によっては、通常スワップポイントを受け取れる通貨ペアでもマイナスになる可能性がある。

初心者に向いているFX会社3選

FX会社を選ぶポイントを踏まえ、初心者に向くと思われるFX会社の中から3社紹介する。

みんなのFX ロスカット100%

「みんなのFX」はトレーダーズ証券が運営するFXサービスだ。最低取引単位は1,000通貨で、小口取引に対応している。ロスカットは証拠金維持率の100%時点で行われるため、追証は理論上発生しない。

「米ドル/円」の通常スプレッドは0.2銭で、1万通貨あたり20円で取引ができる。2020年10月26日時点のスワップポイントは7円だった。月に210円、年間だと約2,600円が受け取れる計算だ。

最低取引単位1,000通貨
ロスカット基準証拠金維持率100%
通貨ペアの数27通貨ペア
内、対円通貨ペア:16通貨
「米ドル/円」のスプレッド0.2銭(0.002円)
「米ドル/円」
買いのスワップポイント
※2020年10月26日時点
7円
※1万米ドルあたり

SBI FXトレード 1通貨単位OK レバレッジに上限を設定できる

「SBI FXトレード」はSBIグループのFX専業会社だ。最低取引単位は1通貨なので、さらに小口の取引が可能だ。1,000通貨以下の場合はより低いスプレッドで取引できる。

ロスカット基準は証拠金維持率の50%なので、追証の可能性はある。ただし、SBI FXトレードではレバレッジの上限を1~3倍に設定することができる。レバレッジを落とすほど証拠金維持率は減少しにくく、レバレッジ1倍だと理論上100%を下回らない。追証が不安な場合はレバレッジを引き下げるとよいだろう。

最低取引単位1通貨
ロスカット基準証拠金維持率50%
通貨ペアの数34通貨ペア
内、対円通貨ペア:19通貨
「米ドル/円」のスプレッド0.09銭(0.0009円)
※1,000米ドル以下
「米ドル/円」
買いのスワップポイント
※2020年10月27日時点
7円
※1万米ドルあたり

ヒロセ通商(LION FX) 通貨ペア50種

「ヒロセ通商」はFXサービス「LION FX(ライオンFX)」を運営している。1,000通貨単位の小口取引に対応しており、証拠金維持率100%でロスカットされる点で初心者におすすめできる。

ヒロセ通商の通貨ペアは50種ある。外貨同士の通貨ペアを前提にすればさまざまな取引ができるだろう。

最低取引単位1,000通貨
ロスカット基準証拠金維持率100%
通貨ペアの数50通貨ペア
内、対円通貨ペア:16通貨
「米ドル/円」のスプレッド0.2銭(0.002円)
「米ドル/円」
買いのスワップポイント
  ※2020年10月26日時点
2円
※1万米ドルあたり

FX口座開設の審査に落ちた場合──他社での申し込み

もし審査に落ちて口座開設できなかった際は、諦めず他のFX会社で口座開設を申し込もう。FX口座は複数のFX会社で開設できる。一つに絞る必要はないので、複数の口座を開設し、用途に応じて使い分けても良い。

口座開設に必要な本人確認やマイナンバー確認の書類は、国内FX会社であればほぼ同じである。口座開設は無料で簡単にでき、各社それぞれ取引ツールや情報コンテンツなど強みが違うので、ぜひ複数のFX会社で口座開設し、比較しながら自分に合うFX会社を探してみよう。


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