パウエル議長、FOMC後に会見──米国債利回り上昇で高リスク資産への影響は

パウエル議長、FOMC後に会見──米国債利回り上昇で高リスク資産への影響は

FRB(米連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長は17日(米東部時間)、FOMC(米連邦公開市場委員会)終了後に金融政策に関する見解を会見で話す予定だ。

新型コロナウイルスのワクチン接種が進むなか、早期の経済回復を期待して、米10年債利回りは1年ぶりの高水準に近い約1.6%まで急上昇している。

約5兆ドル規模の経済対策で、アメリカ政府の借金は記録的水準にまで膨らんだだけではなく、投資家はインフレリスクに対する埋め合わせとして、国債のより高い利回りを求めている。

ウォール街のアナリストは、高い国債利回りが株式からビットコインに至るまでの高リスク資産の価格反落につながることを懸念している。

そこで疑問は、パウエル議長は国債利回りが上がり続けることを容認するのか、あるいは望ましくない市場の反応を回避するために介入するのかだ。根本的なインフレリスクに対処するための金融政策の引き締めから、利回り上昇を抑えるために量的緩和政策を新たに展開することまで、選択肢は多岐にわたる。

困難な金融政策

「市場はFRBを信頼していない。今年から来年にかけて、FRBは大きく試されることになる。(2008年の金融危機を受けて銀行のリスクの高い取引を規制した)ボルカールール以来、最も困難な金融政策となる」と、かつてFRBでエコノミストを務め、現在はジェイン・ファミリー・インスティチュート(Jain Family Institute)でシニアフェローを務めるクロウディア・サーム(Claudia Sahm)氏は話す。

FRB当局者は最近のスピーチの中で「オペレーション・ツイスト」「イールドカーブ・コントロール」などの名称を使って、実験的な金融政策を取る可能性に触れている。

一方、パウエル議長が17日に新しい政策を発表する可能性は低いと、金融安定性に関するイエール大学の研究プログラムで助手を務めるスティーブン・ケリー(Steven Kelly)氏は語った。

「より控えめなものになる可能性がある」とケリー氏。「FRB当局者は必要な政策は何でも行う準備ができているといった文言を声明に盛り込むこともできる」

またすでに実行されている資産購入の規模を拡大させる前に、過去に一度も行われていない政策をFRBが採用する可能性は低いとサーム氏は指摘した。

より長期の国債購入にシフトか

この1年のほとんどの期間、利回りを抑えることで経済を刺激するためにFRBはひと月に約1200億ドル(約13兆円)の米国債を購入してきた。国債価格は利回りと逆方向に動くため、FRBの国債購入は利回りを抑える働きがあり、それが企業融資から30年の住宅ローンまで、あらゆるものの金利を抑えることにつながる。

米10年債利回り
出典 : St. Louis Federal Reserve

FRBは国債購入の一部を、より満期の長い国債の購入に重点を置く方向へシフトするかもしれないと、オクスフォード・エコノミクス(Oxford Economics)の、キャシー・ボスチャンシック(Kathy Bostjancic)氏は述べる。

「12月時点で(FRBが)購入した国債の満期の平均を計算したところ、7.4年だった。それを10年、20年、30年の国債購入にシフトし始める可能性がある」(ボスチャンシック氏)

グローバル経済予測と分析のオックスフォード・エコノミクス(Oxford Economics)は、アメリカの今年のGDP予想を3.2%から7%へと上方修正し、アメリカの経済成長は中国を上回ると予測していると、ボスチャンシック氏は加えた。

コロナ後の経済

パウエル議長は、人々が外出し始め、雇用が生まれ、働き手を求める競争が激しくなって賃金が上昇し、経済が再び勢いを取り戻すなか、価格や市場が反応することに対処しなければならないだろう。

サーム氏によると、こうした「抑えられてきた需要」のストーリーは、インフレリスクの上昇を懸念している市場コメンテーターによって「誇張」されているという。

サーム氏は、まもなく発表される予定の改訂版「Summary of Economic Projections(経済予測概要)」に含まれるFRBによる将来のインフレ予測の中央値は2%を超えるが、3%は大幅に下回るだろうと見ている。

これは一部のアナリストが警告している1960年代後半や1970年代前半に見られた2桁台のインフレ水準からはほど遠い。

「(FRBは)株式市場や商業不動産など、特定の市場はリスクが高く、価格は上昇しているとコメントしている。(FRBは)そこをターゲットにしないだろうと、私は考えている。暗号資産を(ターゲットに)しようともしないだろう。だが、よりリスクの高い資産の一部にある程度の自然な小休止となるような、長期(国債の)利回りに穏やかな上昇があったとしても、FRBはおそらく気にしないだろう」とボスチャンシックは語った。

|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:ジェローム・パウエルFRB議長(FRB(CoinDeskが加工))
|原文:How the Federal Reserve Might Try to Calm Inflation Fears This Week

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