ビットコインのボラティリティ、3カ月ぶりの低水準──方向感欠く

ビットコインのインプライド・ボラティリティ(将来の価格変動に対する期待値)は3月22日、年率換算で75%まで下落した。データサイトのスキュー(Skew)によると昨年12月25日以来の低水準だという。1月中旬には145%を超えていた。

「下方トレンドは、市場が横ばいの値動きを予想していることを示している」と、取引心理データを提供するTrade the Chainのデニス・ビノコウロフ(Denis Vinokourov)氏は述べる。

下図のとおり、ビットコインは現在、「三角持ち合い」の価格レンジにあり、強気と弱気のどちらの方向感も示していない。

出典 : TradingView

明らかな上昇傾向が欠けていることを考慮すると、「ダウンサイド・プロテクション・フローが加速する」とビノコウロフ氏は予想している。わかりやすく言うと、トレーダーは買い疲れサインのなか、プット・オプションを購入する可能性があるということだ。

オプション取引は原資産の価値に基づいたデリバティブ(金融派生商品)で、権利行使日(満期日)の当日またはそれ以前に原資産を売買する権利を与えるもの。ただし売買は義務ではない。プット・オプションは売る権利を与える。

当記事執筆時点、1カ月、3カ月、6カ月のプット・コール・スキューはマイナスになっており、コール・オプションに対する需要が大きいことを示している。つまり、市場心理は強気だ。

プット・コール・スキュー:プット(売る権利)のコール(買う権利)に対するコスト

ビットコインがスポット市場での大きな取引高を伴って、三角持ち合いから抜け出した場合、コールに対する需要は強くなり、6万ドルを超える大幅な上昇への道が開くかもしれない。

一方、三角持ち合いを下方に抜けると、チャート主導の強い売り圧力を招き、大きな下落につながる可能性がある。一部のアナリストによると、5万5000ドルの支持線を下回った場合、4万7000ドルまで下落する可能性がある。

平均以下のボラティリティが長期間続くと、しばしば上昇あるいは下落への激しい値動きを招く。だが今は違う。インプライド・ボラティリティは1月の高水準からは大きく下落しているが、全期間での平均近くに留まっている。

ビットコインのアット・ザ・マネー・インプライド・ボラティリティ
出典 :skew

|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Skew
|原文:Bitcoin’s Price Volatility Expectations Slip to Lowest in 3 Months