1400ドルの現金給付、ビットコインの買い意欲につながるか

米国のバイデン政権が新型コロナウイルス対策として配布した現金給付は、個人投資家のビットコインに対する買い意欲を高めるだろうと期待されていた。しかし、個人の投資意欲の急激な高まりは現時点で、見られていない。

暗号資産(仮想通貨)のビットコイン価格は先週に2.8%下落した後、今週は11%の値下がりを記録した。一人1400ドル(約15万円)の現金給付は継続中であり、個人が給付金をビットコイン投資に充てる動きはないと判断するのは早すぎるのかもしれない。

みずほ証券(米国)は3月、現金給付のうちの約400億ドル(約4兆4000億円)相当がビットコインや株式への投資に回る可能性があると予想していた。

「今回の経済対策からどれほどのお金が当社プラットフォームに入ってきたかをコメントするには時期尚早だ。しかし、前回は現金給付によると思われる大規模な入金があった」と暗号資産取引所ボイジャー(Vayager)のCEOスティーブ・エーリッヒ(Steve Ehrlich)氏は語った。

前回の現金給付の際には、給付金額と同等額の1200ドルの入金が急増したと、暗号資産取引所コインベース(Coinbase)のCEOブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)氏は昨年4月にツイートしている。

現在、このツイートは削除されており、コインベースは新規株式公開(IPO)を控えていることを理由に、今回の経済対策の影響についてのコメントを控えた。幸いなことに、ツイートのスクリーンショットが残っていた。

出典 : Twitter

お金がビットコイン投資に回らない理由

ではなぜ、取引所にお金が流れ込んでいないのだろうか?

個人投資家はこの数カ月、好調のテック株と暗号資産に投資した後、様子見姿勢を維持しているのかもしれない。ブルームバーグの報道によると、米掲示板Reddit(レディット)の株取引コミュニティ「WallStreetBets」が好む株式のコール・オプションの取引高は下がっている。

個人投資家の買い控えは、マクロ経済的な要因が引き起こしている可能性もある。

例えば、経済が回復するにつれて消費者支出は増えている。米銀最大手のJPモルガン・チェースのデータによると、ミレニアル世代のクレジットカード支出はこのひと月で急増している。そうしたお金は暗号資産取引所に向かっていない。

また、ビットコイン価格が2倍になったことで、新規購入者にとっては割高になった可能性もある。

ビットコイン購入が大幅に増える可能性はまだ残されている。米内国際入庁(IRS)によると、今週に次の現金給付の処理が行われる予定だという。

暗号資産取引所クラーケン(Kraken)も1400ドルでのビットコイン購入の大幅な増加はないとコメントしている。

|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:US Bitcoin Exchanges See No Major Uptick in Stimulus-Related Buying