バイデン大統領が予算案を発表、暗号資産に新たな報告義務も──規制強化の一端か

バイデン大統領は28日、就任後初となる予算案を発表。暗号資産(仮想通貨)については、金融機関に内国歳入庁(IRS)もしくは財務省の下部組織に新たな報告を求める提案が含まれた。

1つめは「暗号資産に関するブローカー情報について、より広範な報告を求める」というもの。

財務省の書類によると、この変更案は、アメリカと連携している他の国や地域との情報共有を可能にすることで、「ブローカーによる報告の範囲を拡大」するものだという。

財務省の文書には次のように記されている。

「本提案は、アメリカの暗号資産取引所やホスト・ウォレットプロバイダーなどを含むブローカーに対して、特定の受動的事業体(投資によって利益をあげている事業体)、あるいは実質的な外国人オーナーがブローカーの口座で保有する暗号資産について報告する際、情報の報告を求める」

報告事項には、総収益、売上高、受動的事業体の「実質的な外国人オーナー」が含まれる。

文書によると、提案は2022年12月31日以降の提出書類から有効になるという。また「暗号資産を使った脱税は、急速に拡大している問題だ。この業界は完全にデジタル化しており、納税者はアメリカを離れることなく、海外の暗号資産取引所やウォレットプロバイダーと取引できる」と提案の背景を説明している。

取引データの提供

2つめの提案は、税務コンプライアンスを目的とした「包括的な金融口座報告」の仕組みを導入するもので、金融機関に対して、600ドル以上のさまざまな種類の送金について、その詳細とともにユーザーデータの提出を求めるものだ。

文書によると、これには暗号資産取引所やカストディサービスも含まれるという。

「さらに、納税者がブローカーから暗号資産を購入した後に、別のブローカーに送金した場合や、1万ドル以上の暗号資産を受け取った企業は、そうした取引を報告しなければならない」と提案には書かれている。

この予算案はわずか1週間前には、財務省が1万ドル以上の暗号資産取引について金融機関などに、内国歳入庁(IRS)に報告するよう求めていた。金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)も同様の提案を行っている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:Biden’s 2022 Budget Includes New Crypto Reporting Proposals