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ブロックストリームのCSO、リキッド通じてMMORPG向けトークンをローンチ

Brady Dale
公開日:2019年 5月 31日 20:00
更新日:2019年 5月 31日 20:00

トークン販売をこれまで激しく批判してきた人物が、トークンをローンチする。

ビットコインスタートアップ、ブロックストリーム(Blockstream)のCSO、サムソン・モウ(Samson Mow)氏は、2011年にゲーム会社ピクセルマティック(Pixelmatic)を立ち上げ、CEOを務めている。今回、ピクセルマティックはブロックストリームの新しいプラットフォームを使い、同社のサイドチェーンであるリキッド(Liquid)でビットコインのトークンをローンチする

このプラットフォームを使って、ピクセルマティックは新しくリリースするゲーム『インフィニット・フリート(Infinet Fleet)』向けのトークを発行する。同ゲームのツイッターのプロフィールには「人類の生存を賭け、艦隊を率いて壮大な戦いに参加しよう!」と記されている

だが、この計画の最も珍しい部分はビットコイン ── 少なくとも、ビットコイン・ブロックチェーンと結びついたネットワークでローンチされることだろう。

モウ氏はトークン販売に極めて批判的だ。その理由の1つとして、同氏はCoinDeskに同、その多くがスマートコントラクト機能を持つプラットフォーム、イーサリアム(ethereum)でローンチされているからと語った(同氏はまた、イーサリアムはスケーラビリティの問題から、投資家を「裏切っている」とさえ述べた)。

だがおそらく最も重要なことは、同氏が詐欺行為が蔓延するこの分野に懐疑的なことだ。「私の主な批判は、実体が存在しないこと。ICOを主導する多くのリーダーには、何かを作り出そうという意図はない」とモウ氏はCoinDeskに語った。

モウ氏は、Infinite Fleetには実体があると考えている。「それが我々がトークンを発行する理由、無責任ではない」とモウ氏。さらに、モウ氏らは「デュアルトークン・モデル」と呼ばれる、2つの異なる目的のために2つのトークンを効率的に使用する新しいトークンモデルを開発しようとしていると付け加えた。

資金を調達するために、彼らはいわゆる「セキュリティ・トークン」を販売している。この種のトークンは、規制の対象となり、投資に対するリターンを投資家にもたらすことが求められているため、最近、かなりの注目を集めている。

トークンの販売は非公開で、現在までに数人の「ビットコインOG」、すなわちビットコインの初期の投資家らが参加した。このトークンで、Infinite Fleetは2019年末までに1600万ドルの調達を目指している。また、年末にはより多くの取引所がトークンを扱うようになると期待している。

その後、ユーティリティ・トークン「INF」がゲームのプレーヤーにランダムに配布される。ユーザーは「参加証明(proof-of-participation)」、すなわちゲームに費やした時間と「主要な」ゲームイベントに参加したかどうかに応じて、コインを受け取る。

宇宙での仮想通貨をめぐる戦い!

ゲーム内経済のために完全にバーチャルな通貨を作るというアイデアは新しいものではないが、モウ氏によると、ピクセルマティックはその特徴を踏まえて、アイデアに独自の展開を加えようとしている。

例えば、最も人気のあるMMO(大規模多人数同時参加型RPG)「World of Warcraft」は、ゲーム内のゴールドをアイテムやプレーヤー間の支払いの手段として使っている。しかし、他のプレーヤーにゴールドを売る、いわゆる「ゴールドファーマーズ(old farmers)」と呼ばれる根強い問題があったため、ゲーム会社のブリザード(Blizzard)は、ゴールドの価値を実質的に「WoW トークン」に連動させた。WoWトークンは購入可能、またはゴールドや30日間のプレー時間と交換できる。逆に言えば、ゲーム内のゴールドをそうしたトークンに費やすことができる。

EVE Onlineも複数の通貨をそのバーチャル経済で使っている。こうしたゲームの設計は複雑化し、現実世界に影響を与え得る。例えば、EVE Onlineは、ユーザーのゲーム体験に悪影響を及ぼす可能性がある景気後退の影響を防ぐために以前、エコノミストを採用した。ちなみに、ゲームのプレーヤー数はアイスランドの人口よりも多く、ゲーム内の「戦争」の1つは、ゲーム内の資産で約30万ドルの費用がかかった。

モウ氏がそもそもビットコインに興味を持った理由は、こうしたゲーム経済に破滅の予兆を感じたことが背景にあった。同氏は2018年秋、そうCoinDeskに語った。

Infinite Fleetでは、モウ氏は同じモデルを想定しているが、仮想通貨が導入され、そのメリットが提供される。

「我々のトークンは存在するが、我々のコントロール下には置かれない」と同氏は語った。むしろ、プレーヤーがトークンを所有し、コントロールすると付け加えた。

使用例としては、モウ氏は、リソースを貯めることができるMMOでプレーヤーが経験する問題への対処を強調した。戦利品目当てではなく、単に他のプレーヤーに危害を加えることだけが目的の悪役プレーヤーがまん延したことだ。

「ギルトに潜入してお金を盗むプレーヤーがいることはよく知られている」とモウ氏。リキッドを使って、ギルドのメンバーは「マルチシグネチャー」でのビットコイン取り引きのような、確かなルールによって、より安全なギルドモデルを構築できるようにすることを議論している。マルチシグネチャーでは、コインを使うためには、例えば、10人のギルドメンバーのうち5人が各自の秘密キーでサインする必要がある。

「興味深い使用例がたくさんある」と同氏は述べた。

なぜリキッド?

ところで、なぜピクセルマティックはリキッド上でトークンをローンチするのだろうか? モウ氏がこのサイドチェーン技術を開発したブロックストリームのCSOだから?

「私はテクノロジーを信じている」と同氏。「チェーンにスマートコントラクトを搭載」していないため、金融取引に「適している」。

モウ氏は、リキッドは取引に関連する資産の種類を隠す実験的なプライバシー・テクノロジー「confidential assets」を使っているため、ビットコインのメイン・ブロックチェーンに比べて、よりプライバシーに配慮できると付け加えた。

さらに同氏は、ブロックストリームは、ビットコインの全体的なスケーラビリティを向上させる技術「ライトニング・ネットワーク」などの機能をリキッドに追加する計画があると付け加えた。

ブロックストリームは、リキッドへのライトニング・ネットワークの実装に取り組んでおり、十分な人数がゲーム内の仮想通貨で支払いや取り引きを行うようになれば、ライトニング・ネットワークはゲームで使用できる有益な機能になるとモウ氏は考えている。

「ゲームの場合、INFトークンを使う人がクリティカルマスを超えれば、ライトニングを使えるようになる」とモウ氏は語った。

翻訳:Masaru Yamazaki
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:Game image via Infinite Fleet trailer video
原文:Blockstream’s Samson Mow Is Launching a Space Alien Gaming Token on Bitcoin