ビットコイン価格予想、欧米のクリプトCEOは強気の姿勢崩さず

暗号資産投資家たちは、記録的に厳しい四半期を耐え忍んだ。最近は少し回復してはいるものの、規制強化に対する懸念、中国におけるマイニングの取り締まり、環境負荷をめぐる懸念が、暗号資産業界に悲観的な心理をもたらした。

検証可能な取引高で暗号資産市場の約99%を占める、CoinDesk 20に含まれる暗号資産の大半は、第2四半期(4-6月期)をマイナスリターンで締めくくった。

CoinDeskビットコイン(BTC)プライス・インデックス(BIX)は、40.4%の値下がりと、誕生以来パフォーマンスの点では3番目に不調の四半期となった。一方、イーサ(ETH)プライス・インデックス(ETX)は18.7%高で四半期を終えた。ビットコインは当記事執筆時点で約4万500ドルと、わずかに回復したが、第2四半期が始まった頃の楽観的な雰囲気からはほど遠い。

しかし、この先に明るいニュースを期待できる根拠がありそうだ。複数の業界関係者に取材し、ここ最近の逆風を受けての暗号資産市場の見通しについて話を聞いた。

ライアン・ムーア(Ryan Moore)氏:ビットコインバンキングアプリ「モード(Mode)」のCEO

私たちが目にし始めているのは、世界の規制当局と業界プレイヤーの必要な出会いだ。投資家からの関心が急速に高まるに伴って、この状況は続いていくだろう。既存プレイヤーたちは自らが責任ある存在であり、消費者の保護を優先していることを示す必要がある。それは私たちも同様だ。

確かに価格変動はあったが、私は間違いなく、ビットコインに対して強気の見解を持ち続けている。ビットコインは価値の保管手段としての立場を証明して見せたし、それはミレニアル世代やZ世代によってさらに定着していくばかりだろう。

法定通貨の基準から見ても、暗号資産の基準から見ても、その希少性、耐久性、安全性から、ビットコインには長期的な有用性と価値がある。ビットコインは数年前、90年代初頭のインターネットと比較されていた。この比較は今でも有効だ。インターネットはどこにでも存在するようになったし、ビットコインもそうなるだろう。

規制と向き合うことは、イノベーションやディスラプション(創造的な破壊)を不可能にする訳ではない。逆に、業界の成長を可能にするのだ。安全性と透明性の高まりは、機関投資家と個人投資家からの信頼の高まりと共に進んでいく。私たちは今、投資家たちが安全性や透明性を請け合うよう求めていることを目の当たりにしている。ここ数カ月に監視が強まったことは結局のところ、暗号資産にとっては好ましいことだ。

リチャード・バイワース(Richard Byworth)氏:暗号資産金融サービス企業EQONEXのCEO

私たちは2021年の残りについて、強気な見解を保っている。中国におけるマイニングの取り締まりによって、マイナーが移転し、ハッシュパワーが減少したために、価格には大きな影響があった。

しかし、長期的に見れば強気要因であり、ビットコインをさらに回復力のあるものとするだろう。私たちの予測は変わらず、2022年へと突入する現在のサイクルのピーク時には、ビットコインは約17万5000ドルに達するだろうと考えている。

現在の暗号資産業界に対する規制当局からの監視も、長期的な枠組みの構築と、私たちのような規制を重視したプレイヤーが企業に対するオンランプを提供することにつながるだろう。私たちの2021年の残りに対するロードマップは、ボラティリティの減少とさらなる普及につながり、機関投資家の大半にとって中核的な必須要素となる、デリバティブ製品の展開に重点を置くものだ。

スティーブ・エールリヒ(Steve Ehrlich)氏:デジタル資産ブローカー、ボイジャー・デジタル(Voyager Digital)のCEO

一定の範囲内でしばらく取引された後、ビットコインやその他の暗号資産は年末までに大幅に値上がりすると私は見込んでいる。私のビットコイン価格予測は、2021年12月31日までに10万ドルに近づく、というものだ。暗号資産の普及も、今年を通じて加速し続けるだろう。

ピーター・ウォール(Peter Wall)氏:ビットコインマイニング企業アルゴ・ブロックチェーン(Argo Blockchain)のCEO

ビットコイン価格の短期的変動について私は心配していない。企業として私たちは、数日や数週間という単位ではなく、四半期や1年という長期的視点で物事を考えている。

ここ6〜12カ月、さらにはここ5〜10年間のトレンドを振り返って考えれば、デジタル資産エコシステムは明らかに、1つの方向に向かって動いている。まだ初期の段階にあり、デジタル資産エコシステムは伝統的プレイヤーにディスラプションをもたらし続け、通貨と金融の未来となると考えている。

ここ6〜12カ月のナラティブは、大手企業が暗号資産投資に着手するというものであり、マイクロストラテジー、ペイパル、テスラなどの企業の例が見られたが、ますます多くの企業が参入してくるだろう。

大手企業は空母のようなもので、彼らの方向を変えるのには多大な努力、そしてなりよりもかなりの時間がかかるということを忘れがちだ。そのような軌道修正が進行中であると私たちは考えており、そのような変化の影響を業界が完全に感じるのは、この先数カ月、数年後のこととなるだろう。

フランク・シュイル(Frank Schuil)氏:暗号資産取引所サフェロ(Safello)のCEO

中国によるマイニング取り締まりは価格に織り込まれており、この先の展望は明るい。市場が開かれ、他の地域が繁栄することができる。マイナーは暗号資産により好意的な規制環境へと移転し、これまで支配的だった中国からの競争は減る。

規制の面でも、少なくともヨーロッパにおいては、状況はかつてないほど良好だ。MiCAが導入されて、暗号資産企業が登録をパスポートのように使えるようになれば、競争と普及が加速するだろう。
(編集部注:MiCAは欧州連合(EU)が提案している暗号資産市場の規制である)

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:Crypto CEOs Are Still Six-Figures Bullish on Bitcoin’s Price