ビットコインATMの現状:普及までの長い道のり

ビットコインATMの現状:普及までの長い道のり

プエルトリコでは、暗号資産コミュニティーの成長が再び活発になっている。強気相場は、税極小化戦略と、世界を作り変えようとする暗号資産(仮想通貨)の途方もない野心にとって格好の環境を提供している。

プエルトリコでの暗号資産事情

裕福な暗号資産投資家、開発者、創業者たちが、税法のゆるいことで知られるこの島に押し寄せている。そこでは、暗号資産業界は専門的なホワイトカラー業界の1つに過ぎない。

最大規模のビットコイン(BTC)ATMネットワークを手がけるビットストップ(Bitstop)とパワーコイン(Powercoin)で最高開発・マーケティング責任者を務めるホルヘ・フェルナンデス(Jorge Fernandez)氏が、現地の暗号資産事情について取材に応じた。ビットストップのATMは、アメリカとプエルトリコで1000台以上設置されている。

ビットストップは今年、試験的にプエルトリコに25台のATMを設置した。伝統的なATMとクレジットカード業界出身のフェルナンデス氏は、人々はいまだに暗号資産を犯罪と結びつけたり、恐怖を感じていると指摘する。

「我が社のATMは今のところ、ある程度の結果を出しているが、販売よりも教育に時間をかけている」と、フェルナンデス氏。

それは暗号資産業界では珍しいことではない。革命的な可能性にあふれた暗号資産の普及は、(AMTという形になっていたとしても)複雑で分かりづらいテクノロジーを人々に理解してもらうことにかかっている。

通貨は結局のところ、常に政府の専売特許であった。そこを覆すことで、暗号資産は文明の基盤の1つから離れていっているのだ。それに馴染むには、説明とある程度の時間が必要だ。

BTM(ビットコインAMT)事業に着手した頃、ATM事業と同じようなものだろうと想定するという間違いを犯したと、フェルナンデス氏は振り返る。似ている点もあるが、全体としては同じではない。

「ATMとBTMが設置されるのは同じ小売の顧客だが、結局のところ、買い手の考え方は異なっている。ターゲット層も大いに異なる。どの立地が良いかをピンポイントで把握するのは非常に困難だ。新しい場所で結果が出るには9カ月以上かかることもある。ATMの場合は立地が良ければ2〜3カ月以内で結果が出ることが分かっており、そこも大きく異なっている」(フェルナンデス氏)

ユーザー数が比較的少ないため、ビットストップのBTMネットワークでの取引量は大きく変動するとフェルナンデス氏は指摘し、次のように説明した。

AMT事業の場合には、顧客が持つデビットカード、プリペイドカードの数は7億枚を超えており、顧客の80%は1週間のうちどこかの時点で、チップやその他の用途のために少なくとも20ドルの現金を必要とすることが分かっている。

暗号資産ではそうはいかない。人口のほんの一部しか暗号資産について知らず、購入する人の割合はさらに少ない。購入する人たちの中でも、暗号資産に投資するために全員が定期的に現金を必要とする訳ではない。そのため、BTMでの取引量は、月ごとに変わってくる」

さらにBTM事業は「極めて資本集約的だ」と、フェルナンデス氏は話す。

「BTMの値段はATMの2倍であるだけではなく、『流動性資産』、すなわち販売するための暗号資産在庫にもかなりの額を投資しなければならない」とフェルナンデス氏は説明する。

「運営コストもATMより高く、カスタマーサービスの電話対応は、ATMよりBTMの方がずっと頻繁に発生する。規制が厳しくなるに連れ、コンプライアンスのコストもますます拡大している」

教育の大切さ

「全体として、我が社のBTMはうまくいっているが、各設置場所での取引の大半はわずか一握りの顧客によるものであるということに気づいた。つまり、少数の固定客がいるということだが、プエルトリコで暗号資産が受け入れられたという訳ではない」と、フェルナンデス氏は指摘する。

「暗号資産に夢中な人たちもいて、彼らは定期的に集まったりしているが、普通のプエルトリコ人がビットコインを買いに走っているかといったら、そんなことにはなっていない。現金が重用されている社会であり、この国に設置している我が社の通常のATMは、アメリカにあるものと比べて取引量は2倍だ。BTMの方は、アメリカと同じくらいの使われ方だ」

そしてフェルナンデス氏は、教育が成長の鍵を握っているが、普及への道のりは長いと語った。

「暗号資産は実世界に直結する。この点について、顧客・ユーザーレベルで話をする必要がある。支払いの手段や通貨として受け入れられるかどうかは、そこにかかっている。ある程度はそのような動きも見られるが、大半は浮世離れした話ばかりだ」(フェルナンデス氏)

「暗号資産は未来であり、その点に疑いを持ってはいない。しかし、ありふれたものになるには、長い道のりが待ち受けている」と語るフェルナンデス氏。教育は、暗号資産業界全体にとっての課題だ。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:Shutterstock.com
|原文:Bitcoin ATMs and the Road to Adoption

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