スクエアはドーシー氏の“おもちゃ”になるのか──「ブロック」への社名変更の意味とは【オピニオン】

スクエアはドーシー氏の“おもちゃ”になるのか──「ブロック」への社名変更の意味とは【オピニオン】

2021年は大手企業による暗号資産(仮想通貨)への取り組みが注目を集めたが、その締めくくりとも言える大きな出来事があった。

ジャック・ドーシー氏がツイッターCEOを退任、とのニュースが伝えられた数日後、同氏が率いるもう1つの会社であるスクエア(Square)は社名を「ブロック(Block)」に変更すると発表した。ドーシー氏の動向を注目していた人にとって、これ以上ないほど明確なサインだ。

ドーシー氏はこの5年あまり、暗号資産とブロックチェーン、とりわけビットコイン(BTC)に夢中になっていた。ビットコイン・ライトニング・ネットワークの開発を積極的に推進し、スクエア・クリプト(Square Crypto:社名変更で、スパイラルに名称変更の予定)を通じて、ビットコイン開発者を直接サポートしてきた。

またスクエアのCash Appにビットコインを取り扱う機能を追加し、ツイッターではライトニングを使った「チップ機能」を導入、退任前にはノンファンジブル・トークン(NFT)画像をアバターとして使えるようにすると述べていた。

暗号資産とブロックチェーンの会社に

ドーシー氏は今、スクエアを暗号資産とブロックチェーンの会社に変えようとしている。「ブロック」への社名変更がなによりの証拠だ。

ちなみに「ブロック」は、暗号資産のリサーチとニュースを発信する「The Block」、ウォレットなどの開発を行う「Blockchain.com」、ほかにも「Blockworks」「BlockFi」「Block.One」など、すでにさまざまに使われている。

可能性はきわめて大きい。スクエアは、中小企業向けの決済システムと消費者向けアプリで巨大なユーザー基盤を持っている。2つの事業の収益は近年大きく成長しており(最近は成長が鈍化しているが)、強固な財務基盤と顧客基盤を生み出している。

ドーシー氏は、暗号資産を使って既存顧客のカスタマー・エクスペリエンスを向上させる絶好のチャンスを見出すことができるだろう。また、ドーシー氏はパブリックでオープンなブロックチェーンへのコミットメントを表明しており、業界全体を向上させる可能性がある。

フェイスブックとの奇妙な違い

だが奇妙なことに、スクエア/ブロックは社名変更における「暗号資産」の要素を軽視しているように思える。プレスリリースには、新社名の由来として「ブロックチェーン」があげられているが、同時に「積み木、街区あるいは建物群とそこで展開される地域に根づいたビジネス、音楽でいっぱいのブロックパーティ(野外パーティ)に集まるコミュニティ」という表現もある。

これはフェイスブックが「メタ(Meta)」に社名変更したこととは対称的だ。フェイスブックは社名変更を全面的に打ち出し、大きなニュースとなった。

違いはフェイスブックは少なくとも部分的には、自社を悩ませてきた規制や法的問題から話題を変えようとしたことだ。率直に言って、ソーシャルメディア広告から「メタバース(仮想空間)」への事業転換は財務的には合理的なものではない。つまり、ザッカーバーグ氏と彼の会社は大手報道機関の目をそらす必要があることを認識していた。

対称的にスクエアは十分に成功しており、倫理に反するようなこともない。今回の社名変更はPR目的と考えるべき理由はない。

実際、スクエアは「暗号資産」の観点から社名変更を語ることを控えている。「暗号資産」について語ることは逆にリスクと考えていることは明らかだ。

今、スクエアに投資している人は、確立されたビジネスモデルを持つ成長企業に投資している。ドーシー氏が同社をブロックチェーンの個人的な遊び場に変えようとしているように思えたなら、きわめて不機嫌になるだろう。

市場もそうした葛藤や迷いを反映しているようだ。3日朝、ブロックの株価は横ばいで推移した。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:ジャック・ドーシー氏(Shutterstock)
|原文:Jack Dorsey Takes Square Deep Down the Bitcoin Rabbit Hole

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