ビットコイン、「デジタルゴールド」の機能喪失か

ロシアのウクライナ侵攻に伴うビットコイン(BTC)の乱高下は、ビットコインが安全資産ではないであろうことを示している。ビットコインを「デジタルゴールド」と呼ぶ人もいた。ゴールドなどの貴金属と同じように「価値保存の手段」として機能し、地政学的、あるいは経済的混乱の際にも、その価値を維持するという考え方だ。

だがビットコイン価格は今週、11%下落している。

ロシアのプーチン大統領がウクライナでの「特別な軍事行動」を発表して以来、ビットコインは24日早くに3万4400ドルまで下落した。その後、日本時間25日9時30分時点では3万8700ドルまで回復している。

一方、ビットコインとは対照的にゴールドは1年以上ぶりの高値となっている。しばしば、危機や戦争の際の安全資産と言われるゴールドは、今週1.4%上昇し、当記事執筆時点、過去最高の1974ドルを記録している。

「ビットコインは資産をインフレから守ることに適しているが、地政学的リスクにはあまり適しておらず、ゴールドは今回のような危機に適していることを再び証明した」とPanxora.ioのギャビン・スミス(Gavin Smith)CEOはコメントした。

Eqonexのトレーダー、コナ−ー・ケオハネ(Conor Keohane)氏は「地政学的な問題を皆が意識しているなかで、今日はリスクオフセンチメントとゴールド、スイスフラン、円への逃避が見られる」と述べた。

「安全資産は買われ、暗号資産のようなハイリスク資産は、リスクオフの動きが続くなか、下落圧力が続くだろう」(ケオハネ氏)

インフレ圧力

PanxoraのスミスCEOは、この動きは今後数週間で逆転する可能性があると述べた。

「西側諸国が制裁を発表し始めると、エネルギー製品は非常に強い状態を維持することが予想される。こうした動きはビットコインと株式市場のデカップリングを引き起こし始め、今後2~3カ月の間にビットコインは大きく上昇するはずだ」

「きっかけとなるのは、インフレ圧力が中期的に上昇し続け、生活コストの上昇が続き、西側諸国の財政に負担がかかり続けることが明らかになることだろう」とスミスCEOは述べた。

原油価格は2014年7月以来、初めて1バレル100ドルを超えた。

「同様にエネルギー部門におけるロシアの重要性を考えると、ガソリンと原油がきわめて高値となっても驚きではない」とKinesis Moneyのアナリスト、ルパート・ローリング(Rupert Rowling)氏は語った。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk Research, St. Louis Fed, Yahoo Finance
|原文:Bitcoin Latest Price Drop Suggests It’s Not ‘Digital Gold’ for Everyone