NFTで販売されたオフィスビル、イーサ暴落の道連れに

2週間前、ニューヨーク市のオフィスビルが2900万ドルで売りに出された。そこには、Web3のひねりが加えられていた。不動産購入の権利は、OpenSeaでNFT(ノン・ファンジブル・トークン)として売られていたのだ。

しかし、価格はイーサ(ETH)建て。イーサ価格は6月初め以来、40%以上下落し、このビルの価格も暴落することになってしまった。このNFTのドル建ての価値は、2900万ドルから1680万ドルになったが、オーナーのクリス・オカダ氏は、価格をまもなく調整すると語る。

「おそらく16日には、2950万ドルで再掲載するつもりだ」と、オカダ氏は14日に語り、「ETHのままでいくか、USDコイン(USDC)にするか考えているところだ。ETHにするなら、2万6500ETH近くになるだろう」と説明した。

現在の価格は1万5000ETH。2021年に、1625万ドルで購入されたものだ。

「真の有用性」

オカダ氏は、マンハッタンで43のビルを保有し、顧客層を広げるためにブロックチェーンを活用している不動産会社Okada & CoのCEOだ。

「ウォレットに入れておく以外、手持ちの暗号資産に真の有用性を見出せない暗号資産ビリオネアやミリオネアがいる」と、オカダ氏は指摘し、「今回の取り組みは、私の不動産の知識とNFTへの関心の融合と考えている」と続けた。

オカダ氏は、保有者が建設予定のレストランの独占利用権を手にできる、起業家ゲイリー・ヴェイナチャック(Gary Vaynerchuk)氏によるNFTメンバーシップコレクション「Flyfish Club」にインスピレーションを受けたと語る。

仕組み

「109-111 W. 24th St.」と名付けられたこのNFTそのものは、物件の譲渡証書ではない。NFTの保有者は、「建物、その使用権、関連する捺印証書を獲得する独占的権利」を得られるのだ。

NFTを購入すると買い手は、資金の送金以外は、普通の不動産購入に必要なステップをすべて経る必要がある。買い手はまた、購入を完了させる前にオカダ氏の会社に連絡し、価格交渉をすることが推奨されている。(オカダ氏によれば、すでに8名が関心を寄せているとのことだ)

今回の販売手法は、NFTの画期的なユースケースと、その法律上の制約を象徴している。ニューヨーク市の不動産登録システムによって、実際の譲渡証書をNFTとして販売することはできない。

「この物件の売り方は、昔からの不動産業とブロックチェーンの架け橋のようなものだ」とオカダ氏は語り、「私はその橋のたもとで、2つをつなげる問題を解決しようとしている。ニューヨーク市ではできないかもしれない。ウェストチェスター郡やマイアミ、先見の明を持つその他の自治体でなければならないかもしれない」と続けた。

今後

オカダ氏の会社では、ここ数カ月にわたって、ブロックチェーンを取り入れる方法を試しているが、物件販売における所有権の分割に関して、米証券取引委員会(SEC)との間で法律上の問題に直面している。

オカダ氏の会社では、ブロックチェーンを活用した不動産事業において、賃貸オフィス物件や、コワーキングスペースなどを将来的に計画している。

「実際の物件の権原をオンチェーンで保管したり、オンチェーンの仕組みを使って物件の譲渡や販売を完了させる方向へ進んでいると思うが、私たちはまだそこまでいっていない」と、暗号資産弁護士exlawyer.ethは語り、次のように続けた。

「ブロックチェーンを活用できると信じる人がいるのは素晴らしい。不動産業界での利用は、この先数カ月、数年にわたって登場してくる、画期的な用途の一例にしか過ぎないものとなるはずだ」

オカダ氏の物件は、NFTとして販売される初の業務用スペースであるが、住宅用物件市場においては、すでにブロックチェーンが大いに活用されている。例えば、NFT不動産企業プロピー(Propy)は2月に、住宅をNFTとして初めて販売した。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:ニューヨークのオフィスビルのイメージ画像(Shutterstock)
|原文:A Manhattan Landlord Listed His Office Building in ETH as an NFT. Then Its Price Dropped $12M