ビットコイン、6月は37%強の下落──2011年以来の下落幅

ビットコイン(BTC)は6月、37.3%以上下落した。月としては2011年以来最大の下落幅となり、業界中にレイオフを引き起こし、セルシウスをはじめとする多くのレンディングサービスは資金引き出しを停止、事業を維持するための緊急対応を強いられている。

ビットコインは6月を1万9925ドルで終えた。

「株式市場、債券市場など、ほぼすべての多くの場所で史上最悪の四半期の1つとなった」とデジタル資産運用会社アルカ・ファンズ(Arca Funds)の最高投資責任者ジェフ・ドーマン(Jeff Dorman)氏は述べた。

米労働省が6月10日に発表した5月の消費者物価指数(CPI)が40年ぶりの上昇率となる前年同月比8.6%上昇となるなか、米連邦準備理事会(FRB)の急激な利上げに対する投資家懸念がビットコイン価格急落の大きな要因となった。

6月13日、ビットコインは1日あたりでは2020年3月以来となる16%下落を記録し、2万1910ドルとなった。その2日後、FRBは0.75%、つまりここ数年の通例の3倍となる金利引き上げを行った。

ビットコインはその後、ほぼ2万ドル付近で推移したが、先週は1万9000ドル前後まで下落した。

ビットコインは楽観的?

暗号資産運用会社ビットブル・キャピタル(BitBull Capital)は、ビットコインは6月、1万7000ドル〜1万9000ドルが重要な価格帯となると予想し、2021年6月〜7月と同様の厳しい状況になると指摘していた。同社は、ビットコインは今後数週間で横ばい推移を再度試すことになると期待している。

「今回は横ばい推移に成功する可能性は高いと思われ、数カ月にわたる緩やかな回復のベースとなるだろう」とCEOのジョー・ディパスカール(Joe DiPasquale)氏はコメントした。「このレンジを割ると、ビットコインは1万3000ドル〜1万5000ドルとなり、回復に長い期間を必要とするかもしれないスパイラルに陥る可能性がある」。

CryptoCompareのデータによると、暗号資産ファンドの運用資産残高の総額は6月、37%減少し、216億ドル(約2兆9200億円)となった。ビットコインファンドの運用資産残高は34%減少の159億ドル(約2兆1500万円)で、週平均の純流出は1億8800万ドル(約254億円)の過去最高に達した(データは6月23日まで)。

「リクイデーション(清算・現金化)サイクルが終わりに近づいていることは間違いないだろう。業界にまだ残っている企業は健全なバランスシートを持っているようだ。貸し借りとレバレッジは低くなっている。ほとんどのファンドの現金化率は50%で、レバレッジをかけた資金の清算は終わりつつあるだろう」(アルカ・ファンズのドーマン氏)

一部のアナリストはビットコインは最終的には反発すると楽観視している。

「これらは成長痛。結局のところ、歴史を振り返ると何度もドローダウンを経験しているが、そのたびに最高値を更新している。歴史は多くの場合、繰り返さないが韻を踏むということだ。のだ、そうだろう?”」と認定金融アナリストで、Eaglebrook Advisorsのリサーチディレクター、ジョー・オーシニ(Joe Orsini)氏は述べた。

CoinDesk 20は6月、すべて下落(出典:CoinDesk)

アルトコインは?

ほとんどのアルトコインは、ときどき上昇したが、下落で6月を終えた。例えば、ポリゴン(MATIC)はDAO(自立分散型組織)のプライベート機能を拡張したことで24時間で25%上昇したが、月間では20%以上の下落となった。

暗号資産レンディング大手セルシウス(Celsius)のネイティブトークン、セルシウス(CEL)は6月中旬、「極端な市場環境」で顧客の資金引き出しを停止すると発表した直後、数時間で50%以上下落した。6月21日にショートスクイーズと思われる上昇があり、一時8倍まで上昇したが、現在は6月初旬の水準に近い価格となっており、6月を24%下落で終えた。

ドーマン氏は、セルシウスをはじめとする中央集権型サービス(CeFi)を批判し、CeFiは投資家の信頼を失うだろうと述べた。

「今後の話題の中心は、顧客に見事に問題なくサービスを提供してきたDeFi(分散型金融)プラットフォームになるべき。セルシウスのようなCeFiは吹き飛んでいる」(ドーマン氏)

イーサリアム(ETH)も45%下落、1060ドルで6月を終えた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Brutal Month for Bitcoin as June Ends With Biggest Drop in 11 Years