セルシウス、元CEOのほか2人の経営トップも資金引き出し──3人で1700万ドル、顧客の引き出し停止前に

破綻した暗号資産レンディング大手、セルシウスの経営トップ3人は、同社がユーザーの資金引き出しを停止し、破産申請を行う直前の2022年5月から6月にかけて、1700万ドル(約25億円)の暗号資産を引き出していた。新しい裁判記録で明らかになった。

10月5日遅くに提出された財務報告書によると、元CEOのアレックス・マシンスキー(Alex Mashinsky)氏、元CSOのダニエル・レオン(Daniel Leon)氏、CTOのニューク・ゴールドスタイン(Nuke Goldstein)氏は、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、USDコイン(USDC)、セルシウスなどをカストディ口座から引き出していた。

最高コンプライアンス責任者のオレン・ブロンシュタイン(Oren Blonstein)氏、最高リスク責任者のロドニー・スナダ・ウォン(Rodney Sunada-Wong)氏、新CEOのクリス・フェラーロ(Chris Ferraro)氏など、他の十数人の幹部は、大きな引き出しは行っていないという。

マシンスキー氏は2022年5月に約1000万ドルの暗号資産を引き出した。レオン氏は5月27日から5月31日の間に約700万ドルと、「担保」と記された400万ドル相当のセルシウスを引き出した。

当初、現CTOのゴールドスタイン氏は約1300万ドルと、同じく「担保」と記された780万ドル相当のセルシウスを引き出したと伝えられたが、別の関連団体を通じた取引との照合から、同氏はセルシウスの個人口座の資金を動かしたようだ。同氏が個人口座から引き出したのはほとんどがイーサリアムで、約55万ドル。ほとんどが担保となっていた。

同社はその1カ月前に「極端な市場環境」を理由にすべてのユーザーの引き出しを停止し、7月に連邦破産法第11条の適用を申請している。

セルシウスは破綻に至る詳細とともに、その杜撰な経営実態が明らかになっている。連邦管財官(U.S. Trustee)事務所に任命された独立検査官は現在、セルシウスが破綻した理由、顧客の資金を管理・保管していた方法を調査している。

マシンスキー氏とレオン氏は、2週間ほど前に辞任。Financial Timesは今週はじめ、同社が顧客の資金引き出しを停止する前にマシンスキー氏が1000万ドル相当の暗号資産を引き出したと伝えた。

メディアに流出した音声記録によると、同社の経営陣は負債をトークンに変え、カストディサービスにビジネスを転換することを含む新たなリストラ計画を検討していた。しかし、裁判所は今月末にセルシウスの資産を競売にかける予定だ。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk archives
|原文:Celsius’ Top 3 Execs Cashed Out $56M in Crypto Before Bankruptcy
※編集部より:US記事の修正を受け、タイトルと本文を一部修正して、更新しました。