ビットコインは手詰まり──「ドルロング」が最も人気の取引:バンカメ調査

ビットコイン(BTC)は、季節的に強い10月は回復して上昇すると思われていた。だが現状、プロ投資家は米ドルに資金を移しているため、上昇は見られないままだ。

バンク・オブ・アメリカ(BofA)が18日発表したグローバル・ファンドマネージャー調査によると、10月は「ドルロング」(米ドルに強気の投資を行う)が最も好まれ、回答者の64%が最も人気の取引と回答している。バンク・オブ・アメリカは371人のファンドマネージャーを対象に調査を行った。

FRB(米連邦準備制度理事会)が異例の大幅利上げでインフレ抑制を図るために、金利を半年で3%引き上げたために、ドルは7月以降、一貫して最も人気の資産となっている。FRBの引き締め政策は、暗号資産(仮想通貨)をはじめとするリスク資産を下落させ、ドルを高騰させた。

人気の取引は、しばしばバブルと関連し、資産は高値を記録する。例えば「ビットコインロング」と「テクノロジー株ロング」は昨年、最も人気の取引だった。ビットコインは2021年11月に約6万9000ドルの史上最高値を記録し、その後約70%下落している。ハイテク株中心のナスダックは年初から31%下落している。

一方、一部の市場関係者は、今後数カ月でドルに圧力がかかると予想している。仮にドル安が顕著になれば、リスク資産にとっては好材料となる。

強いアメリカ経済

「ドルの反転が必要だ。1月下旬に起こる」と暗号資産トレーダーでアナリストのアレックス・クルーガー(Alex Kruger)氏は19日未明にツイートした。

クルーガー氏によると、FRBの利上げサイクルは2月に終了する可能性があり、ドルをショート、あるいは売る道が開かれる。

しかし、暗号資産サービスプロバイダー、Matrixportのリサーチ&戦略責任者、マーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏によると、ドル安の可能性はまだ低いようだ。

「ドル安は難しい。アメリカ経済は活況を呈しており、エネルギーは自給でき、輸出国でもある。以前は海外に製造を委託していた製造業の国内回帰もあり、経済の活況を牽引している」(ティーレン氏)

アメリカの相対的な経済の強さとエネルギー自給は、FRBが利上げを停止した後も、ドル需要を後押しする可能性がある。さらに季節的な傾向では、第1四半期(1−3月期)は通常、ドルが強くなっている。

出典:Equity Clock

Equity Clockのデータによると、信念から3月上旬はドルにとって良い時期であることがわかる。ドルは、3月後半にピークを迎え、5月上旬に底を打つことが多い。

偶然にも、ビットコインのこれまでの強気相場は12月にピークを迎え、第1四半期に下落している。また、2018年の弱気相場は12月に終わり、2019年の第1四半期、つまりドルが季節的に強い時期に強気相場を維持していた。

事態がどのように推移するかはわからない。日本時間20日13時頃、ビットコインは1万9050ドル付近となっている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Stuck in a Rut as BofA Survey Reveals ‘Long Dollar’ Is Most Favored Trade