FTX買収は「我々の勝利」ではない:バイナンスCEO

暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)のチャンポン・ジャオCEOは11月9日、FTX買収に合意したことは「我々の勝利ではない」とスタッフに宛てた文書に記した。フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)が文書について報じた後、ジャオ氏はツイッターで公開した。

FTXが崩壊寸前の状態に陥ったことは、暗号資産業界の信頼を「著しく揺るがし」、規制当局は「暗号資産取引所を今以上に厳しく検査」することになるとジャオ氏は記した。

「世界中でライセンスが取得しにくくなるだろう」と同氏は付け加えた。

サム・バンクマン-フリード氏が率いるFTXは、姉妹企業アラメダ・リサーチ(Alameda Research)がバランスシートに関する懸念──FTXのネイティブトークン、FTXトークン(FTT)を大量に保有していること──を受けて、流動性危機に直面した後、8日にバイナンスによる買収に合意した。

バイナンスは当初、保有するFTXトークンを売却する意向を明らかにし、FTXからの大規模な資産流出を早めた。

9日の文書でジャオ氏は、買収に関するデューデリジェンスが進行中のため、FTXトークンを取引しないようスタッフに注意を促した。ジャオ氏は、8日にバンクマン-フリード氏との協議を終えるとすぐ、FTXトークンの売却を中止するようチームに伝えたという。

「我々は、銀行さえも上回る高い基準を持つ必要がある」(ジャオ氏)

またZhao氏は文書の中で、バイナンスは「この件、あるいは関連することのマスタープランを策定していない」と述べた。

「サム・バンクマン-フリード氏が私に電話をかけてきてから24時間も経っていない。そしてそれ以前、私はFTXの内部状況についてほとんど知らなかった。FTXの収益を推測するために我々の収益をベースにある種の計算はできた。だが決して正確なものではなかった」とジャオ氏は記した。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:チャンポン・ジャオCEO(CoinDesk archives)
|原文:Binance CEO Zhao Says Planned FTX Acquisition Is Not a ‘Win for Us’