不適切な顧客資産の管理、バンクマン-フリード氏がついに認めた?

不適切な顧客資産の管理、バンクマン-フリード氏がついに認めた?

壊滅的な破綻によってFTXに大きな注目が集まっているにもかかわらず、FTXとその姉妹企業アラメダ・リサーチ(Alameda Research)が実際、どのように運営されていたのかについて、我々がほとんど知らないことは驚きだ。

新CEOのジョン・レイ(John Ray)氏は、サム・バンクマン-フリード氏の暗号資産帝国を、これまで見たなかで「企業統治の最悪の失敗」と呼んだ。

「同じ」取り扱い

暗号資産の内外の怪しげなプロジェクトに光を当てることでキャリアを築いたユーチューバーのCoffeezilla氏は12月7日、さまざまな顧客口座がFTXでどのように扱われていたかに関する情報を提供するよう、バンクマン-フリード氏に迫った。そして少なくとも最後の数日間は、顧客口座は区分されていなかったとバンクマン-フリード氏は認めた。

「当時、我々は顧客口座を同じように扱いたいと考えていた」とTwitter Spaceでのイベントでバンクマン-フリード氏は語った。つまり、FTXの取引所ビジネスとデリバティブビジネスの間に「事実上、代替可能性のようなものが作られたことを意味する」と同氏は認めた。Coffeezillaにとっては、詐欺が行われたことを示す明白な証拠のようなものだ。

少なくともこれは、取引所のサービス規約について数分前に聞かれたことに対する答えと矛盾する。「マージン、ステーキング、スポット、先物の担保」に使われた顧客資産については「異なる扱いをしていたと考えている」とバンクマン-フリード氏は語っていた。これらのサービスにはそれぞれ、異なるリスク、顧客への異なる約束、FTX側の異なる責任が伴っている。

FTXのサービス規約によると、FTXで暗号資産を購入・保管しようとしただけの一般ユーザーは、まさにそうしたサービスを受けていると信じることができるはずだった。

共同ウォレット

しかし、Coffeezillaの巧みな質問術によって、「共同」ウォレットのようなもので管理され、スポットトレーダーとデリバティブトレーダーが実質的に同じリスクを負わされていたことが判明した。

また、こうした取り扱いはFTXで長年行われていたとも推定できる。バンクマン-フリード氏は、引き出しが停止される前に人々が自分の資産を取り戻そうとした「取り付け騒ぎ」の際に、FTXはこうした共同ウォレットからの「総合的な引き出し」を許可していたと語った。そして流動性危機のなかで、まったく新しいプロセスのためのプログラムを作るべきだったのか? と質問を逸した。

バンクマン-フリード氏はこれまでにも何度も、FTXのサービス規約について聞かれ、多くの場合、何とか話を逸らしてきた。同氏は,マージンを利用する顧客は、FTXによって資産が使われる可能性があると記されたサービス規約の別の章にしばしば話を逸した。

あるいは、FTXが銀行との関係を結ぶ前の、古い送金プロセスの話を持ち出した。同氏によると、どうやら顧客はFTXの口座に入金するためにアラメダに送金し、その過程のどこかでお金はほとんど知られていないサブアカウントに送られたようだ。これはまた、同氏の暗号資産帝国の闇の一角であるアラメダの資産を膨らませるというメリットもあった。

山積みの疑問

疑問はまだまだ残っている。アラメダがいつ、どのようにお金を失ったのか。そのうち、どれくらいが顧客の資産だったのかはまだわからない。最近の報道によると、アラメダはFTXに清算する必要のないレバレッジ口座を持っていたという。それが含み損を抱え、資産を区分していないウォレットが存在していたのならば、アラメダはFTXの顧客が知らないうちに、同意も得ずにその資産を使っていたことになる。

スポット資産が約束されていたように1対1で裏付けられていなかったら、あるいはローンなどの担保として使われていたら、「告発可能な詐欺事件」だと元連邦検事のレナト・マリオッティ(Renato Mariotti)氏はCNBCに語っている。

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バンクマン-フリード氏は以前、FTXとアラメダが保有する「ドル」は「一般的に代替可能」なものと語っており、従業員への個人的なローンや、ベンチャーファンドとの取引に使われていた。そして今、同氏は顧客資産も、少なくとも最後の数時間は「実質的に」交換可能、つまり使用可能だったと認めた。

バンクマン-フリード氏は一連のインタビューで、さまざまな小さな判断が積み重なって、壊滅的な失敗につながったと繰り返し語っている。確かに、同氏とその仲間たちがたった一度の悪さをしたわけでも、トレーディング事業を壊滅させた一瞬があったわけでもなさそうだ。

むしろバンクマン-フリード氏は、最初から騙すつもりだったのだろう。暗号資産トレーディング企業と取引したがらない銀行の目を騙すために、アラメダ・リサーチという社名を選んでいる。

FTXは、設立時点から不適切に組織化された企業だった。顧客の資産は常に危険な状態にあった。それがようやく、バンクマン-フリード氏自身の言葉で明らかになった。

|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:FTXの元CEOサム・バンクマン-フリード氏(Danny Nelson/CoinDesk)
|原文:Did Sam Bankman-Fried Finally Admit the Obvious?

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