ChatGPTは検索に支配されたWeb2を倒し、Web3への道を開く【オピニオン】

ChatGPTは検索に支配されたWeb2を倒し、Web3への道を開く【オピニオン】

ソフトウェアのリリースにテックコミュニティがこれほど夢中になったのは久しぶり。イーロン・マスク氏が立ち上げたAIスタートアップ、OpenAIの「ChatGPT」だ。

膨大なデータでトレーニングされ、今ではどんな質問にも答えられるようになったChatGPTは、1週間足らずで100万人以上のユーザーを獲得した。

ツイッターにあふれる投稿からは、命を持たないこの対話型AIが、質問されたあらゆるトピックに関して、饒舌で信憑性を感じさせる文章で答える様子が伝えられている。

経済学者のタイラー・コーウェン(Tyler Cowen)氏は、経済学者トーマス・シェリング氏の外交政策における抑止理論についてChatGPTに質問し、そこそこまともな文章を書かせることに成功した。

検索をディスラプト

もちろんChatGPTは、完璧からはほど遠い。ブルームバーグのジャーナリストが自らの追悼記事を書かせようとして発見した通り、ときには事実ではないことを記す。

アトランティック誌のコラムニスト、イアン・ボゴスト(Ian Bogost)氏は「生成する回答はおそらく、浅はかで深みや知見に欠けている」と述べ、「人間の言語の複雑性を真には理解していない」と指摘。多くの人たちの称賛に冷や水を浴びせた。

しかし、ボゴスト氏のボスでアトランティック誌のCEOニコラス・トンプソン(Nicholas Thompson)氏に言わせれば、そのような不完全性は、このテクノロジーがインターネットの主要な部分である「検索」という分野にもたらすディスラプト(創造的破壊)を妨げるものではない。

トンプソン氏は、ChatGPTは、世界についての大半の人たちの一般的な疑問を解決し、すぐにでもグーグルのアルゴリズムに取って代わるだろうと主張。何かを「ググって」、広告に支えられた答えが返ってくるのを待つ代わりに、チャットボットに質問して、すぐに答えを得るようになる時代が来ると述べた。

Web2をひっくり返す

それがどれほどの変化をもたらすのか、誇張し過ぎることは難しい。

人気度(検索数)によってヒエラルキーを形成する、膨大なウェブサイトで構成されるWeb2エコノミーは、検索という基盤の上に構築されているのだから。

デジタルメディアにいる我々は、何十年もの間、グーグルのアルゴリズムに対応するためにコンテンツのSEO要素を微調整するという、絶え間なく変化する要求に常に奴隷のように応えようとしてきた。

しかしそれはメディアに限った話ではない。ブランドから政府、NPO、ブロガーまで、世界中の人たちの限られた関心を引こうとする人なら誰でも、グーグルの検索アルゴリズムが支配する競争に踊らされてきた。

そうした仕組みから生まれたのが、Web2の中核的なビジネスモデルだ。「ページビュー(PV)」や「ユニーク訪問者数」「セッション」といった指標をもとに広告主からお金を取り、ユーザーデータを販売する。

もしかしたらそれらがすべて、なくなるかもしれない。

Web3のチャンス

これは暗号資産にとって、何を意味するのか?

デジタルエコノミーを分散型Web3の時代へと移行させ、NFT、ステーブルコインを使った決済システム、メタバースプロジェクトにとって、新しい収益化のチャンスを生み出すきっかけとなるのかもしれない。

NFTやオープンメタバースの支持者たちは、プロジェクトのマスへの普及を促し、支配的なプラットフォームからの仲介者の排除という夢を叶えてくれるものは何かについて、議論を重ねてきた。

ゲームにおけるデジタルコレクティブルの利用だろうか? よく知られた消費者ブランドやエンターテイメント企業が、顧客やファンとの間で「所有権」を介した関係を築くために、NFTを基盤とした直接的なエンゲージメント戦略を開発することだろうか?

それとも、ユガラボ(Yuga Labs)の「Bored Ape Yacht Club」のようなプロジェクトが切り開いた集団的な価値創造と知的財産権の共有の新しいモデルだろうか?

こうした考え方は、Web3のアイデアが内在する魅力によってチャンスを拡大すると仮定したものだ。しかし問題は常に、多くの人がWeb2モデルが育んできたコミュニティの中毒になっている、あるいは少なくとも依存していることだ。皆がフェイスブックを使い続けるのは、皆がフェイスブックを使い続けるからだ。

ChatGPTの可能性

Web3の未来はWeb3テクノロジーそのものの魅力ではなく、外部の力、Web2エコノミーをディスラプトし、世界をそれ以外の選択肢へと開かれたものにする力にかかっているかもしれないことを、OpenAI、そしてChatGPTは示した。

Web2の広告モデルが覆るとしたら、ブランドやメディアはどのようにして顧客や読者、視聴者にその声を届け、収益を生むのだろうか? NFTを使ってかもしれない。

検索の終焉はつまり、ナイキ、スターバックス、タイム紙などのNFTプロジェクト(これらはすべて忠実なファンと意義ある形で直接的につながる新しい方法と支持されている)が、単なる優れたアイデアにとどまらず、顧客との関係を再収益化するための現実な方法となるかもしれないことを意味する。

そして、多くのWeb2ベースの企業に大きな課題を突きつける。ChatGPTのようなAIシステムが、偽情報を広めようとする人によって操作されたり、Web2プラットフォームがもたらした監視よりも、人間の自由意志にとって有害かもしれないという、もっともな懸念もある。

それでも、シリコンバレー企業1社にコントロールされない日が来るかもしれないことは、魅力的な話だ。

|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:ChatGPT Will Kill Search and Open a Path to Web3

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