上場初日に価格が41%上昇「バイナンス効果」とは

バイナンス(Binance)に上場した暗号資産(仮想通貨)は、最初の30日で価格が73%上昇していることが、暗号資産投資家レン&ハインリッヒ(Ren & Heinrich)の分析で判明した。

レン&ハインリッヒは、26の暗号資産を18カ月にわたって追跡。バイナンスに上場した暗号資産は、価格が上場初日に41%、3日目に24%上昇しているという。この調査結果は、少なくとも短期的には暗号資産に利益をもたらす「バイナンス効果」の存在を証明した。

これは以前「コインベース(Coinbase)効果」と呼ばれた現象と似ている。暗号資産分析会社メッサーリ(Messari)の2021年4月のレポートは、コインベースに上場した暗号資産は上場後の5日間で価格が91%上昇したことを明らかにした。

今、バイナンスが個人投資家向け取引で大きなシェアを占めていることを考えると、レン&ハインリッヒの分析は、バイナンスへの上場は少なくとも投機家の間では大きな注目を集めている可能性がある。

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「ほとんどの場合、バイナンスへの上場は暗号資産価格にプラスの影響を与えた」(レン&ハインリッヒ)

使いやすいUXを反映

「バイナンス効果」は、競合をはるかに上回るバイナンスの膨大な取引高の副産物と言えるだろう。1月5日、バイナンスの75億ドル近い取引高は、競合の約3倍となった。

メッサリのデータサイエンス&分析マネージャー、ロベルト・タラマス(Roberto Talamas)氏は、一般的にこの効果は取引所の「使いやすいUX」を反映していると述べた。

2021年初めは、価格に統計に現れる影響を与えたのはコインベースへの上場だけだったが、「流動性がバイナンスにより集中した現在、バイナンスへの上場が価格に大きな影響を与える可能性がある」とタラマス氏は米CoinDeskに述べた。

出典:Ren & Heinrich

例えば、クロスチェーン・ブリッジのスターゲイト・ファイナンス(Stargate Finance:STG)はCoinGeckoのデータによると、2022年8月19日の上場初日に価格が約33セントから80セント超と152%上昇した。

だがレン&ハインリッヒは、こうしたポジティブな勢いは「比較的短命」とも述べている。分析した暗号資産の約半数は、上場後の約2週間で上昇幅を失っている。

バイナンス効果 vs コインベース効果

メッサーリのタラマス氏は、バイナンスの最近の躍進は、かつて「コインベース効果」を牽引した、個人投資家にとっての、より簡単な「アクセシビリティ」が要因と述べた。

「バイナンスが他の中央集権的取引所からユーザーと資金を取り込むことに成功し、流動性とユーザーが増加すれば、(バイナンスへの)新規上場の価格への影響は大きくなると考えられている」(タラマス氏)

金融サービス会社Conotoxiaの市場アナリスト、グジェゴシュ・ドローズ(Grzegorz Drozdz)氏は、2022年、バイナンスに上場した新しい暗号資産の約3分の2の価格が上昇したと推定している。例えば、オプティミズム(Optimism:OP)は、バイナンス上場直後に300%以上上昇した。

「2023年、バイナンス上場後は大きな価格上昇が期待できるだろう。『コインベース効果』から『バイナンス効果』への移行は明白だ」とドローズ氏は続けた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Ren & Heinrich
|原文:‘Binance Effect’ Means 41% Price Spike for Newly Listed Tokens