嫌われる暗号資産用語──マイニング企業も社名変更

嫌われる暗号資産用語──マイニング企業も社名変更

この数年間、自社に注目を集めるには、社名に暗号資産(仮想通貨)に関連した用語を加えたり、暗号資産関連の新しい取り組みをアピールすれば十分だった。

「ロングアイランド・アイスティー(Long Island Iced Tea)」が2017年、社名を「ロング・ブロックチェーン(Long Blockchain)」に変更し、株価が上昇した有名な事例から、大手企業がWeb3やNFTの取り組みをアピールすることまで、話題を集める確実な方法は、暗号資産のメリットを前面に押し出すことだった。

しかし今、1年にわたる厳しい弱気市場の中で、ビットコイン(BTC)マイニング企業でさえ、暗号資産をイメージさせる用語の使用を控えている。これは、スキャンダルと莫大な損失に影響を受けていること、そして暗号資産がメインストリームに普及するためには、まだまだ多くのハードルがあることを示している。

「この2、3年の暗号資産バブルから距離を置きたいというのが企業の一般的な要望。伝統的金融機関と取引している場合、より顕著だ」とD.A.デビッドソンのアナリスト、クリス・ブレンドラー(Chris Brendler)氏は述べた。

「ブロックチェーン」を外す

用語や名称の問題は、暗号資産マイニング企業にとって特に深刻だ。なぜなら、マイニング企業は多くの資本を必要とし、外部の投資家にアピールしなければならないからだ。なかには社名から「ブロックチェーン」を外した企業もある。

大手ビットコインマイニング企業の1つである「ライオット・ブロックチェーン(Riot Blockchain)」は1月初め、社名を「ライオット・プラットフォームズ(Riot Platforms)」に変更、自社について「ますます多様化するビジネス」と表した。同社の株価は2022年、75%下落した。

マイニング施設とデータセンターを運営する「アプライド・ブロックチェーン(Applied Blockchain)」は11月、社名を「アプライド・デジタル(Applied Digital)」に変更。同社は「刷新された社名は、大量のコンピューティングパワーを必要とする顧客にサービスを提供する当社のミッション、サービス、より幅広い事業をより正確に反映している」と声明で述べている。同社の株価は2022年、92%下落した。

用語を問題視しているのはマイニング企業だけではない。世界最大級の暗号資産取引企業であるジャンプクリプト(Jump Crypto)のカナフ・カリヤ(Kanav Kariya)社長は、複数の用語の使用をやめる可能性についてツイートしている。

「暗号資産とスマートコントラクトという用語は、業界をかなり後退させている。ほとんどのトークンが通貨を意図しておらず、オンチェーンプログラム/アプリが法的なコントラクトを意図していないことを説明できる新しい用語をどのようにまとめればよいのだろう?」

NFTではなくデジタル・コレクティブルズ

今月、ラスベガスで開催されたテクノロジー見本市「CES 2023」では、いくつものセッションの登壇者がメタバースの可能性を熱心に語ったが、従来の業界用語には冷たい反応を見せた。

エンターテインメント業界の広告・マーケティング会社The Illusion Factoryのブライアン・ワイナー(Braian Weiner)CEOは、NFTにはネガティブなイメージがあることから、「NFT」という用語を使わず、代わりに「デジタル・コレクティブルズ」を使っていると述べた。

同氏は、このアイデアは、NFTを「非専門用語化」し、仕組みよりも体験に焦点をあてるものと、NFTという用語が使われていたパネルディスカッションに登壇した際に述べた。

「Metaverse Media Leadership」というタイトルの別のパネルディスカッションでは、パラマウント・グローバル(Paramount Global)のフューチャリストであるテッド・シロウィッツ(Ted Shilowitz)氏が「Web3やブロックチェーンの基盤にはきわめて肯定的で強気」だが、「メタバースという用語には否定的」と発言。

さらに、この用語を発明したSF作家のニール・スティーブンスン(Neal Stephenson)氏も「用語が、実際に起きているリアリティに取って代わっていることに同意するだろう」と述べた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Crypto Terms Become Dirty Words as Bear Market Lingers

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