Ordinalsの魅力が資金をSTXに向かわせる──暗号資産ファンドが注目

暗号投資ファンドのノースロック(North Rock)は、ビットコイン(BTC)の成長に期待し、スタックス(Stacks)のトークンSTXに注目している。スタックスは、時価総額で最大の暗号資産(仮想通貨)であるビットコインに焦点を当てたスマートコントラクト用のいわゆるレイヤー2コンパニオンチェーンで、関連する金融商品の作成を可能にするものだ。

CoinGeckoのデータによると、STXは過去24時間で約23%上昇した。それ以前の7日間の50%の急上昇に加え、さらに上昇したことになる。このトークンの需要は1月21日にローンチした、ユーザーがビットコインブロックチェーン上にデジタルアートへの参照を刻むことができるOrdinals Protocolによって高まっている。このトークンの時価総額は2月27日の時点で12億ドル(約1635億円)を超えている。

ノースロックは最近発表した論文で、スタックスが持つ他のブロックチェーンプロジェクトとは異なる強みとして、分散型金融(DeFi)への注力、スマート・コントラクトの革新的な使用、ビットコインとの互換性を強調している。

ノースロックの創設者であるハル・プレス(Hal Press)氏は、週末のツイートで「我々は巨大で比較的未開発の市場機会、(Ordinalsに端を発する)コミュニティの大きな文化的変曲点、そして今年後半にはスタックスの革新的なアップグレードがあると考えている」と述べている。

同社は、スタックスには強力なコミュニティ、経験豊富なリーダーシップ、成長のための明確なロードマップがあると指摘し、スタックスへの投資は、プロジェクトの発展と普及に伴って大きなリターンをもたらす可能性があると結論づけている。

Ordinalsは、1月の急成長の後も引き続き活動が活発だ。 (Dune Analytics)

Ordinalsはリリース直後から、ビットコインのトランザクションの急増とビットコインネットワーク開発の復活を引き起こした。また、暗号資産業界で論争の的になっているビットコインのスケーラビリティに関する議論も再燃している。

これまでに、Ordinals上の個々のトークンを表す用語であるユニークインスクリプションが19万7000件以上実行されたことが、Dune Analyticsのデータで示されている。

ノースロックは、スタックスへの投資の詳細を明らかにしなかった。広報担当にコメントを求めたが回答は得られていない。

ノースロックは論文の中で、スタックスはイーサリアムなどのブロックチェーンプラットフォームと比較して、安いガス料金、短いトランザクション時間、強固なセキュリティなど、いくつかの利点を提供すると述べている。

この分析では、分散型ソーシャルメディアプラットフォーム、予測・取引市場、レンディングアプリの作成など、スタックスの技術の潜在的なユースケースも探っている。このような製品は、他のブロックチェーン上に構築されたアプリケーションにロックされたトークンの価値、500億ドル(約6兆8000億円)の基盤となることが、DeFi Llamaのデータで示されている。

3月20日に予定されているスタックスのアップグレードも、最近のSTXの価格上昇に寄与している可能性がある。開発者は先週の投稿でバージョン2.1のアップグレード内容を紹介し、いくつかの新機能と改善点を詳述している。

主な機能の1つは、スタックスのコンセンサスメカニズムの更新版である「Stacking 2.0」の導入だ。これは、STXの保有者が自分のトークンをロックアップして、ネットワークの安全確保と報酬の獲得に貢献するプロセスだ。

Stacking 2.0は、小規模なトークン保有者が参加し、報酬を得られるようにすることで、このプロセスをよりアクセスしやすく、包括的なものにすることを目的にしている。さらに、このアップグレードではスマートコントラクト機能の改善、新しい「マイクロブロック」機能の使用による拡張性の強化、NFTのサポート強化も追加される予定だ。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Ordinals Protocol
|原文:Allure of Bitcoin Ordinals, DeFi Drives Crypto Funds to Bitcoin Layer 2-Token Stacks