ビットコインは2万5000ドル付近、一時2万6000ドル超え

穏やかなインフレデータと銀行セクターがパニック寸前から回復していることに後押しされ、ビットコイン(BTC)は14日、9カ月ぶりに2万6000ドルを超え、その後やや反落した。

当記事執筆時点、ビットコインは24時間で約2%上昇し、2万4700ドル付近。14日は一時、2日連続で2桁台の上昇となっていた。日本時間15日10時25分頃には、再び上昇して2万5000ドル付近。

米CPIは減速

米労働省が14日発表した2月のCPIは、前年同月比が1月の6.4%から6%に減速、また食品とエネルギーを除いたコアCPIは1月の5.6%から5.5%に減速した。ただし前月比では、CPIが1月の0.5%上昇から2月は0.4%上昇と減速下一方、コアCPIはエコノミスト予想の0.4%上昇に対して、0.5%上層となった。

「暗号資産に特有の陶酔した上昇後の健全な引き戻しだと考えている。市場が週末の出来事をきわめて早く受け流したことにまだ驚いている」と暗号資産データ企業カイコ(Kaiko)のリサーチアナリスト、リヤド・キャリー(Riyad Carey)氏は語った。

キャリー氏は、市場の流動性がまだ低いと指摘、そのことが「こうした値動きをより大きなものにする」と述べた。さらに米空軍の無人機とロシアの戦闘機が黒海上空で衝突したというニュースは「すべての市場に動揺を与えた」と続けた。

ビットコインの上昇は、アメリカの銀行・金融規制当局が破綻したシリコンバレー銀行とシグネチャー銀行の預金を全額保護する決定を下したことと、アグレッシブ過ぎた引き締めがパニックに近い状態を引き起こしたという懸念に対して、米連邦準備制度理事会(FRB)が現在のタカ派姿勢を転換するという投資家の希望的観測を反映している。

FRBはタカ派姿勢を転換?

Bitcoin Opportunity Fundのマネージングパートナー、ジェームズ・ラビッシュ(James Lavish)氏は、14日午後のビットコインの反落は、ビットコインが「トレーダーにとって重要な2万5000ドルのレジスタンスを超えた後、ショートでのリスクヘッジに動いた」ことを示していると述べた。

「加えて、CPIの数字は0.5%の利上げは今、議論から外れているとしても、利上げがまだ終わっていないことを示している」と続けた。

オプション市場では、トレーダーは2023年の「ビットコインの爆発的な上昇を織り込んでいる」と、暗号資産分析企業Amberdataのデリバティブ担当ディレクター、グレッグ・マガディーニ(Greg Magadini)氏は語った。

「ビットコインは『リスク資産』として取引されるのではなく、代替(オルタナティブ)通貨として取引されるようになっている」「シリコンバレー銀行の破綻以前は、強い雇用統計を受けてFRBはタカ派姿勢を強めていたが、破綻によって、ようやく真の『ピボット』要因を手に入れた」

他の市場

イーサリアム(ETH)も12日午前中に上昇したが、その後反落した。24時間で1.5%上昇し、1705ドル付近。暗号資産市場全体のパフォーマンスを測定するCoinDesk Market Index(CMI)も2%上昇した。

株式市場も上昇。S&P500は1.6%、ナスダックは2.1%、ダウ平均は1%上昇した。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Bitcoin Gains Early, Fades Late to Trade Below $25K