イーサリアムのステーキング需要が急増──利回り年率5%、待ち時間は約1カ月

イーサリアム(ETH)を保有して利回りを得ようとする暗号資産(仮想通貨)投資家は、イーサリアムネットワークのバリデーター(検証者)として設定されるまでに1カ月近く待たなければならない。

2つの情報源から得たデータによると、イーサリアムのステーキングの待ち時間は640時間、つまり約26日間に及んでいる。一方、ネットワークから退出するのにかかる時間はわずか0.026時間、つまり1分半だ。

バリデーターは、イーサリアムのようなプルーフ・オブ・ステーク・ブロックチェーンのエンティティで、トランザクションを処理し、ネットワークの全体的なセキュリティの維持に貢献する。5月現在、5万人近くのバリデーターが、ネットワークに入るために「行列」を作って待っていることがデータで示されている。

このデータは、ネットワークに参加して年間5%近い利回りを得ることの需要の高さを示している。このような需要は、ETHの現金化を望まず、保有するETHによる受動的な収入を得たい大口保有者から生じていると思われる。

一部の市場ウォッチャーは、これらのバリデーターは、新規の市場参入者と、以前にプロセスがシームレスに機能するかどうかをテストするためにネットワークからETHをアンステークし、今再び参入しているステーカーの両方が混在している可能性があると述べている。

「シャペラ・アップグレード直後は、18カ月以上ロックアップされ、ステークしたETHのポジションから抜け出したいと考えていたステーカーによって、かなりの量の需要圧力がかけられた可能性がある」とステーキングプロトコルAlluvialの共同創設者マット・ライジンガー(Matt Leisinger)氏は説明した。

「これらのステイカーがすべてポジションを手放したため、圧力はその後沈静化し、現在は初めて市場にやってきた新しい参加者だと推測できるものからのステーキングの需要が増加している」とライジンガー氏は付け加えた。

シャペラ(Shappella)は、4月12日に同時に発生した2つの主要なイーサリアムネットワークのアップグレードであるシャンハイ(Shanghai)とカペラ(Capella)の合成語で、投資家はステークしたETHを初めて自由に引き出すことができるようになった。

ここ数週間、ステーキングの預け入れが急増している。オンチェーン分析ツールのナンセン(Nansen)のデータによると、先週は20万以上のETHがネットワークに預け入れられ、先月、シャペラが行われて以来、初めて預け入れが引き出しを上回った。

これらの追加により、ステーキング目的でロックされたETHの数は、流通する総供給量の約15%に当たる1900万を超えた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:CoinDesk
|原文:Ether Holders Embrace Near Month-Long Wait for Staking ETH