お祝いムードが一転、“ピザ”関連のミームコインで20万ドル以上のラグプル被害

5月22日はビットコイン(BTC)が初めて決済に利用された日を祝う「ビットコイン・ピザ・デー(Bitcoin Pizza Day)」、今年13回目を迎えた。しかし、新たに発行されたピザ関連のミームコインで「ラグプル(出口詐欺)」が行われ、20万ドル(約2700万円、1ドル135円換算)以上の損害が発生、暗いムードに転じている。

新しい取引ペアを確認できるDEXToolsの「live new pairs」によると、過去24時間で14個のピザ関連ミームコインが発行された。そのうちの4個は「ラグプル」、またはなんらかの方法で購入者から資金を盗むスキームであることが確認されている。さらに、ほかに少なくとも5個のトークンには、購入者がトークンを売却できないようにして損害を与える「ハニーポット」の疑いがかけられている。

ちなみに、「ビットコイン・ピザ・デー」は2010年5月22日、開発者のラズロ・ハニエツ(Laszlo Hanyecz)氏が1万ビットコインでピザ2枚を購入したことに由来する。

ピザコイン、ビットコインピザ、ピザイヌ…

最初のミームコインはピザコイン(PIZZA)という名称だった。開発者は発行からわずか8分で、購入者が保有トークンを売却できなくなるよう「売却税(sell tax)」の率を変更した。ピザコイン購入者は34人で、被害総額は0.9892ETH(1800ドル)。

表向き混乱は起きず、その後さらに「ビットコインピザ」や「ピザイヌ」という名称のトークンを購入する人が続出し、最終的に総額1万2000ドル以上の被害が発生した。

さらに「Ethpizza」と「bpizza」が発行され、それぞれ時価総額4万ドル、10万ドル以上に高騰した。しかしどちらのトークンも、スマートコントラクト所有者が譲渡と売却を停止したため、売却できなくなった。

開発者がプロジェクトを「急に中止する(pull the rug:ラグプルの語源)」方法は複数あり、その1つは、開発者側で変更できる売却税をスマートコントラクトに追加することだ。売却税は開発者の裁量で、トークンが売却できなくなるほど引き上げることができる。

より一般的な別の方法は、スマートコントラクト所有者がトークンの大部分を保持し、価格が上昇するのを待ってから、何も知らない投資家にトークンを売りつけることだ。

ペペの時価総額が10億ドルにまで飛躍的に上昇したことで、投資家はこうしたミームコインの購入を望むようになっており、ミームコインブームといえる状況になっている。こうしたミームコインはいずれもファンダメンタル的な価値はない。投資家は、無限の下落リスクがある市場で誇大広告のように大きく上昇する次のトークンを見つけたいと考えているようだ。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:林 理南
|画像:DEXTools
|原文:Bitcoin Pizza Day Turns Sour as Meme Coin Shysters Profit Over $200K in Rug Pulls