イギリス政府は暗号資産の専門部署を設置するべき──超党派の議連が提言

イギリスの国会議員のグループが、暗号資産(仮想通貨)金融サービスの規制を早急に導入し、そのプロセスを監督する専任の役人を任命するよう政府に求めている。

6月5日に発表された報告書の中で、Crypto and Digital Assets All Parliamentary Groupは、暗号資産はもはや定着しているので、早急な規制が必要だと述べている。超党派で両院の議員を含む同議連は、国内での暗号資産の規制について53の提言を行った。

リシ・スナク(Rishi Sunak)首相が率いる政府は最近、イギリスが暗号資産を既存の金融サービス規制の範囲に入れることによって規制することを提案する協議を終了した。同議連と連携するロビー団体のCryptoUKは協議でイギリスが1年以内に暗号資産規制を導入することを望んでいると述べ、政府はこの目標を達成したいと回答している

議会ではすでに、法執行機関が暗号資産を押収・凍結するのを支援するだけでなく、暗号資産セクターに対する議員の権限を強化する法案が審議されている。

現在、暗号資産企業はイギリス国内で活動する場合、金融行為規制機構(FCA)に登録する必要がある。

「暗号資産の急速な成長を考えると、消費者を保護すると同時に、この分野でのイギリスのリーダーシップを確実に実現するために、この報告書のタイミングはとても重要だ」と、同議連の議長であるリサ・キャメロン(Lisa Cameron)氏は6月5日のプレスリリースで述べている

同議連の調査は、2022年8月に開始された。これは、当時財務大臣だったスナク氏が同年4月に発表した、イギリスを暗号資産のハブにしたいという政府の意向を受けたものだった。調査の一環として、暗号資産業界、規制当局、一般市民から意見を聴取した。

議員たちは報告書の中で、政府関係者の役割や、イングランド銀行、広告基準局、FCAなどの規制当局の現在のアプローチに対する提言を行った。

「暗号資産とデジタル資産の規制の広範な性質を考えると、政府は、暗号資産、デジタル資産、ブロックチェーン技術の成長によって影響を受けるすべての政府部門や機関を横断して連携し、調整されたアプローチを確保する必要がある」と報告書は述べている。

多くの暗号資産企業が、「長時間の遅延を経験した」、あるいは理由についての明確な説明がないままFCAから登録申請を却下されたと述べていると報告書は指摘している。

議員らは報告書の中で、規制当局が暗号資産に対する責任を果たすのに十分なリソースを有しているか否かについて懸念を表明し、イギリスの規制当局に暗号資産に関する専門部署を設けるよう提言した。

報告書のその他の提言には、ステーブルコインが決済手段として使用できるように、高品質の資産、理想的には法定通貨で裏打ちされていることを保証すること、および暗号資産の環境への影響を政府によって適切に調査されるべきことが含まれている。

議員らは、暗号資産に関する新たな包括的な税制の枠組みを構築し、イギリスの銀行が暗号資産企業との交流を制限している問題や金融安定性へのリスク、暗号資産関連の経済犯罪などの問題に政府が対処するよう求めた。

同議連はまた、政府が発行するかどうかの協議をしている中央銀行デジタル通貨の「可能性」も調査している。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:UK Lawmakers Call for a Dedicated Government Role to Oversee Crypto Regulation