SECのバイナンス提訴、コインベースでも起きる可能性──独投資銀行アナリストが指摘

米証券取引委員会(SEC)は6月5日、暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)と同社のCEOらを連邦証券法違反の疑いで提訴した。ドイツの投資銀行ベレンベルク(Berenberg)のアナリストであるマルク・パルマ―氏は、SECが以前にビットトレックス(Bittrex)とクラーケン(Kraken)に対してかけた容疑と一部が共通していると指摘し、コインベース(Coinbase)も今後同様の容疑で提訴される可能性があると述べた。

コインベースはSECから既に警告を受けており、提訴された場合には純収益の少なくとも37%がリスクにさらされる可能性があるという。

バイナンス提訴で暗号資産市場は全面安

SECは、バイナンスとバイナンスUSの運営会社、バイナンスの創業者兼CEOのチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)氏を提訴。バイナンスコイン(BNB)およびステーブルコインのバイナンスUSD(BUSD)の提供が未登録の証券の提供にあたり、またステーキングサービスは証券法に違反していると主張した。

この提訴により、5日の暗号資産市場は大幅な全面安となり、コインベースの株価も約9.1%安の58.71ドルで取引を終えた。

コインベースにもリスク

コインベースは3月、SECから未登録証券にあたる可能性がある暗号資産を上場させたことに関連した執行措置が間もなく行われる可能性があるとの警告を受けていた。パルマ―氏は「SECがコインベースの暗号資産取引とステーキングを標的にした場合、純収益の少なくとも37%がリスクにさらされると推定している」とし、コインベースの格付けは「中立」、目標株価は55ドルだと述べた。

金融データの提供を行うファクトセット(FactSet)によると、コインベースの格付けは現在、買い11件、中立7件、売り6件となっている。

パルバー氏は「SECの執行措置の結果、コインベースがアメリカでの事業の大部分の縮小または停止を余儀なくされた場合に、そのビジネスモデルと地理的重点をうまく変更する能力があるかどうかに投資家は焦点を当てるべき」と指摘した。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:林理南
|画像:コインベースのブライアン・アームストロングCEO(同社の許可を得て、CoinDeskがキャプチャー)
|原文:Binance SEC Lawsuit Could be Preview of What Coinbase May Face, Berenberg Says