「執行による規制」は使い古された常套句:SEC執行ディレクター

「執行による規制(Regulation by enforcement)」は「暗号資産市場参加者やロビイストによって効果的に使われているキャッチーだが、使い尽くされた常套句」と米証券取引委員会(SEC)執行部の責任者は6月16日に述べた。

SECは既存のルールと規制を執行してきたとSEC執行ディレクターのガービル・グレワル(Gurbir Grewal)氏は、法律事務所とロースクルールが共催したパネルディスカッションで学者や弁護士を前に語った。

モデレーターは、SECの最近の動きと「執行による規制」の概念について質問。グレワル氏は、SECは暗号資産業界の監視を続けているが、トークンそのものではなく、業界内の動きに焦点をあてていると述べた。

「我々はラベルを気にしているわけではない。我々はオファリング(販売や提供)を気にしている。ラベルは重要ではない」とグレワル氏は述べた。

さらに「テクノロジーが重要だ。内容が何かということ。なぜなら、内容を調べたとき、我々はさまざまなものを見つけてきた……DeFi(分散型金融)は、分散型でも金融でもなく、むしろ単なる(詐欺)だ」と続けた。

また、同氏は「暗号資産市場の低迷とリスクの増大によって、我々がこの業界にフォーカスすることを余儀なくされたのだと考えている。おそらくそれが、執行措置の増加と受け取られたのだろう。だが我々はこの数年、これまでと同じように仕事をしているだけだと考えている」と暗号資産分野での最近の執行措置の増加について語った。

「法律が許す限り、管轄区域を拡大する」とグレワル氏。

「我々は、多くの規制当局と多大な協力関係を築いている。多くの規制当局と頻繁に会合を開き、MOU(覚書)を交わしており、海外での証拠収集能力は向上している。ますます規制当局間の協力は深まり、我々と(イギリスの)FCAや(オーストラリアの)ASICなどとの間のギャップはなくなるだろう。悪人たちが規制のギャップを利用できる機会は少なくなると考えている」

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:ガービル・グレワル(Gurbir Grewal)氏(写真右、Nikhilesh De/CoinDesk)
|原文:SEC Enforcement Director: ‘We’re Not Concerned With the Labels’ in Crypto Cases